Linguistics 続き
2010/5/29
2008/10/28
Linguistics SIXTH EDITION 続き
An Introduction to Language and Communication
Chapter 4: Phonology: The Study of Sound Structure
第4章は、Phonologyです。これはLinguisticsのサブ・フィールドの一つで、言語の音の構造と
systematic patterningを解析します。
母音と子音の音素を特徴づけているdistinctive
featuresに分解してそれぞれの音素を調べます。
子音は以下の17のfeaturesで表にします。
この17のFeaturesがこれらの音素を発音するときのキーポイントになります。
(本にはすべてに+
-が付けられていますが、以下は、p b m t
dだけにしてあります)
これは、1968
Morris Halle & Noam Chomskyの 著書『The Sound Pattern of English
』(SPE)
からの引用です。
|
|
Syllabic |
p b m t d n k g
ng f v s z th th sh
3 ts dz l r w j h |
Consonantal |
+ + + + + |
Sonorant |
- - + - - |
Voiced |
- + + - + |
Continuant |
- - - - - |
Nasal |
- - + - - |
Strident |
- - - - - |
Lateral |
- - - - - |
Distributed |
- - - - - |
Affricate |
- - - - - |
Labial |
+ + + - - |
Round |
- - - - - |
Coronal |
- - - - + |
Anterior |
+ + + + + |
High |
- - - - - |
Back |
- - - - - |
Low |
- - - -
- |
以下は17のFeaturesの要約です。
Sylabic: シラブルの
head(peak)になりえる音です。母音はすべて+です。
Consonantal: 音の通り道がfricative同等に狭められるものです。
/r/ /w/ /j/ /h/が-マイナスです。
Sonorant: 声帯を有声の位置(または近く)にするもの。/m/ /n/ /ng/ /l/ /r/
/w/ /j/ /h/
Voiced: 有声音。Voiced+ Sonorant-の音は /b/ /d/ /g/ /v/ /z/ /th有声/
/dz/
Continuant: 声の通り道をふさぐ動作が無い音。 破裂音・破擦音affricateが-ではじかれる。
Nasal: 鼻音。
/m/ /n/ /ng/の3つ
Strident: 高域音を含む摩擦・破擦音。 /f/ /v/ /s/ /z/ /sh/ /3/ /ch/
/dz/
Lateral: 舌が空気の流れをさえぎる音。 /l/のみ
Distributed: 舌が口の天井の広い部分に触れる音。 /sh/
/3/ /ch/ /dz/
Affricate: 破擦音。/ch/ /dz/の2つ.。 Delayed
Releaseとも言う
Labial: くちびるを使う。/p//b/ /m/ /f/ /v/ /w/
Round: くちびるをまるめる音。
/r/ /w/の2つ
Coronal: 王冠の意味がある。音声学では舌頂音。かなりの子音が+。
-は /p/ /b/ /m/ /k/
/g/ /ng/ /f/ /v/ /w/ /h/
Anterior: 前方閉鎖音。 /p/ /b/ /m/ /t/ /d/ /n/ /f/ /v/
/s/ /z/ /th無声/ /th有声/ /l/ /r/
High: 舌の位置のこと。舌を持ち上げる音。 /k/ /g/ /ng/ /sh/ /3/
/ch/ /dz/ /w/ /j/
Back: 舌を口の奥(retracted)に置く音。 /k/ /g/ /ng/
/w/の4つ
Low: 舌が下の奥(retracted) /r/の一つだけ。
/h/は次の母音によっては該当する
//以上
以上のfeaturesを使うと、英語の複数形の作り方のルールが下のa. b.
c.で記述できる。
a. 複数形の形態素morphemeは/z/ただし、
b. 語尾が[+strident,
+coronal]の場合、弱音[i]を挿入する。
c. 語尾が[-voiced]の子音の場合、[-voiced]のままでplural morpheme
[s]を発音する。
例: a dogs /z/, b bushes [iz], c books
所有の'sも同様: a.
John's /z/, b. Butch's [iz], Dick's /s/
動詞の三人称単数形のs runs /z/, pushes [iz], hits
/s/
The
Syllable
シラブルの構成は、Onset + Nucleus +
Coda
napkinは2音節
O+N+P O+N+P
n æ p k i
n
2音節以上の単語の2音節以降がどこで切れているのかを決めるのは、やっかい。
英語の音節に関しては、以下の2つのルールがある。
これで、音節を区切ることが可能になる。
@Aspiration
Rule
[-continuant,
-voiced]つまり、無声&continuantでない子音がシラブルの頭(Onset)
となる場合aspiratedで発音される。
たとえば、apaという単語があったとして、音節が切れる可能性は2つある。
a-pa,
ap-a、つまりpが1音節目のCodaか2音節目のOnsetなのか?という課題。
pの発音がaspirated(破裂音を息を吐いて発音する)ならば、aspiration
ruleにより、
pは音節のOnsetになるため、a-paという音節の切り方になる。アクセントの位置は、
前のaにあっても、後のaにあってもこのルールは有効。
AMaximal
Onset
Principle
Onsetの子音は、1つか2つ。最大3つの場合の最初の子音は[s]
たとえば、prという2つの子音の最初につけることができる子音はspringのように、sのみ。
問題: 単語の中に以下の音の組み合わせがあった時、音節はどこで区切るのが適切か?
VnsV,
VnstV, VnstrV, VftV (VはVowel 母音の略)
答えは、Vn-sV, Vn-stV, Vn-strV, Vf-tV
ではなぜ V-nsV,
Vns-tVではいけないのか?
「V-nsVのnsという順番・組み合わせのOnsetは英語には無い
Vns-tVでは、stの組み合わせが妥当。また、tがaspiratedとは考えにくく、
tがこのようなOnsetにはなりえない。
←この説明は日本人にはちょっと不親切。
問題: 2音節単語、constructsの音節はどこで区切れるか?
母音が2つなので、2音節。
可能性は、n-s-t-rの3ヶ所のうちのどこかにある。
Onsetの子音は1つか2つ。3つの場合はsではじまる。(Maximal
Onset Principle)
もしも、ns-trで切ったとすると、@Aspiration
Rule /t/はaspiratedが適用されてくるが、
constructsの真ん中の/t/はaspiredにはならないで、弱く発音される。
したがってtではじまるOnsetにはなれない。
「新語を作る場合も、ftik というOnsetの子音の組み合わせはNGである。」
Conclusion:
英語のPhonologyに関するルールはいくつぐらいあるのだろうか?
数百は有るかもしれない。子供たちは、苦労せずにルールを身につけて行く。
次の第5章では、「Phrase」「Sentence」に注目してゆく。
Chapter
5 Syntax:
The Study of Sentence
Structure
第5章は、Syntaxです。統語論とか構文論と訳されています。
文の構造を解析する
Tree Diagramsが象徴的です。
以下のTree
Diagramがすぐに理解できる人は、この章が面白いと感じます。
そうでないと、つらいでしょうが知っておいたほうが良いでしょう。
(私の場合は、学生の時に、Tree
Diagramsを使って機械翻訳の
プログラムを作ろうとしました。
このとき身に付けた英語のSyntaxが、英語マスターにつながる
基礎になっています。)
S
/ | |
NP
Aux VP
/ |
|
/ |
|
Art N
PP
V
NP
PP
/
|
/ |
/
|
P
NP Art
N P
NP
/
|
/
|
Art
N
Art N
The people in the room will move the desk into the
hall.
S: Sentence 文
NP: Noun phrase 名詞節
Aux: Auxiliary
verb 助動詞
VP: Verb phrase 動詞節
PP: Prepositional
phrase 前置詞節
Art: Article 冠詞
N: Noun 名詞
V: Verb 動詞
P: Preposition 前置詞
(文法は何を勉強したらよいでしょうか?
文法など必要ない!
という人がいますが、第5章の知識は、なにを置いても理解すべき文法知識です。)
英語も日本語も文章の数は理論的には無限に作られるので数えることはできません。
では、文やphrasesのリストは無限にあるために、全部覚えるのはあきらめたとして、
native
speaker's linguistic
knowledgeとはなんでしょうか?
それがわかれば英語習得の役に立つはずです。
本書では以下のように言っています。
「ネイティヴの言語知識とは、有限のルールを知っていて、無限にある
phrases
and
sentencesを理解したり、作り出す能力」
(これができるようになれば、日本人も英語をマスターしたと言えます。)
(以下、面白いと思った文例などをメモしておきます。
ちょっとオタクっぽいのですが・・・)
Structural
Ambiguity
The mother of the boy and the girl will arrive
soon.
この文は、構造的にambiguousです。
進行形にした場合、以下の2つが可能だからです。
The mother of
the boy and the girl is arriving soon.
The mother of
the boy and the girl are arriving
soon.
この場合は、単語の意味のあいまいさではなく、構造のあいまいさが表面化したものです。
How English
questions are
structured
疑問文の作り方をめぐって、ルールの仮説が1から6まで検討されます。(面白い!)
仮のルール I
疑問文の作り方は、2番目の単語を最初に持ってくる。
John
can lift 500 pounds.
Can John lift 500 pounds?
しかし、下の文章ではダメ!
Young
hamsters are feisty. (よくじゃれる)
Hamsters young are feisty?
←NG!
仮のルール II
疑問文は、最初の動詞を文の頭に移動する。
Young hamsters are
feisty.
Are young hamsters feisty?
しかし、下の文章ではダメ!
You know those
women.
Know you those women?
←NG!(Shakespeareの文の中には出てきますが)
仮のルール III
助動詞が無い場合は、do動詞を文頭に置く。
助動詞がある場合は、助動詞を文頭に置く。
You
know those women.
Do you know those women?
Sara should
be going to Chicago.
Should Sara be going to
Chicago?
しかし、下の文章ではダメ!
Be Sara should going to Chicago?
←NG!
仮のルール IV
助動詞が2つある場合の疑問文は、最初の助動詞を文頭に置く。
Sara should
be going to Chicago.
Should Sara be going to
Chicago?
しかし、下の文章ではダメ!
The people who are standing in
the room will leave soon.
Are the people who standing in the
room will leave soon? ←NG
仮のルール
V
疑問文は、文の主語(phrase)のすぐ次に位置する助動詞を文頭に置く。
The people who are
standing in the room will leave soon.
Will the people who
are standing in the room _ _ leave
soon?
しかし、まだ下の文章ではダメ!
Yesterday John could lift 500 pounds.
John
yesterday could lift 500 pounds? ←NG
仮のルール
VI
疑問文は、文の主語(phrase)のすぐ次に位置する助動詞を主語のすぐ左側に置く。
Yesterday John could lift 500
pounds.
Yesterday, could John lift 500
pounds?
疑問文を作るルールは、単純なようでいて、実はいろいろなSyntaxの
ルールを駆使しています。その例がルール I
--> ルール VI までの試みです。
次に主語(主語phrase)について考えます。
上にあるTree
Diagramの文章は以下です。
The people in the room will move the desk into the
hall.
いいかえると、
It is the desk that the people will move into the
hall.
the desk はNP、into the hall はPPです。
では、the desk into the
hallはひとつのNPでしょうか?
つまり、ひとつのphraseと言えるでしょうか。
ここに Cleft
Sentenceが紹介されます。以下の構造です。
It is X that
Y.
Xの所に入れられるのは、一つのphraseです。
It is the desk that the
people will move into the hall.
It is into the hall that the
people will move the desk.
it is the desk into the hall that
the people will move. ←NG
したがって、the desk into the
hallはひとつのNPにはまとめられません。
Discontinuous
Dependency
Syntaxで難解なのは、Particleの移動です。
つまり、のなかの前後につながる単語が途切れる場合です。
Mary
stood up her date. stand upはデートの約束の時間をすっぽかす。
Mary stood her date
up. のようにupを移動しても意味は同じです。
upはstoodに付いているとわかります。
もう少し長い文にします。
She stood
up all those men who had offerd her diamonds.
upは verb
phraseの後ろに移動可能です。でも理解は困難になります。
She stood __ all those men who had
offerd her diamonds up.
She stood all those men
up who had offerd her
diamonds.
この場合、 stood upの間にall those
menが入り、menとwhoの間に
upが入り、修飾関係がクロスしています。
この章では、これらの文章をそれぞれTree
Diagramにして解説してくれます。
What is structure?という投げかけで始まったこの章はsentence
structureは
structural and relational
aspectsが必要と指摘しています。
Syntaxとは何かという課題の一部には答えてくれますが、どうして人は文章を
理解しているかという疑問に答えるには、Syntaxだけでは不足です。
もうひとつ、Control
Verbsのお話。
以下の文では、去っていくのはどちらかがJohnで、他方がMaryです。
どちらでしょうか?
John promised
Mary to leave.
John persuaded Mary to leave.
受け身にすると。
Mary was
pormised to leave. (これは変な文章ですが、なぜ変なのかの説明が難しいようです。)
Mary was
persuaded to leave.
Chapter 6に続く・・・
続く