WILLIAM SHAKESPEARE

2005/8/10

Hamlet

Copyright 2002
* * * * * * * 2005/8/10読書済み
おすすめ度★★★★★

とても有名な物語ですが、まわりの人も読んでいないので日本ではあまり英語では読まれていないのではと思われます。私のサイトの掲示板にTo be or not to be that is the questionはどういう意味なのか?と書かれたのを機に、重い腰をあげてもう一度読んでみました。

私が今回読んだのは古い古い本です。
『ハムレット』篠崎書林、編註者 大山俊一
昭和34年8月25日 初版発行
昭和42年10月1日 4版発行 (1967)
表紙をめくると、タイトルページにはアルファベットで以下のようにあります。
SHINOZAKI ENGLISH CLASSICS
GENERAL EDITOR
TAKANOBU OTSUKA
SHAKESPEARE
HAMLET

私の手元にあるこの本は616ページのやや厚い本ですが、英語の本文がたったの170ページです。この本の大きな特徴は、詳細な語句の説明と、シェイクスピアの意図の説明です。この部分がP171からP594まで実に424ページもあります。amazonで探して見ましたが、当然のごとくこの本は存在しませんね。
この本を私が1回目に読破したのは、1971/12/10とあります。21歳のときです。
今回は、2005/8/10、この間に約34年の年月が経っています。私の所有物としては、とても長持ちしているものです。

ストーリーは特に書きません。感想を中心にメモ程度に記録します。

感想:

今回は、ペーパーバックと区別せずに同じような感覚で楽しみながら、古典とか英語の勉強を意識しないで純粋に楽しみで読むようにしました。

ペーパーバックだとすると、どちらかというと映画のスクリプトを読んでいる感覚がしました。ロケ地があって、シーンごとに話が組み立てられています。先月、スター・ウォーズのエピソード3の映画のスクリプトを読みましたが、それに近い感じです。スター・ウォーズのスクリプトも薄い本ですが、実はハムレットもペーパーバックとしては、とても薄いほうです。

シーンはDenmarkの主にElsinore城です。

主な配役は以下のとおりです。
HAMLET Prince of Denmark, son to the late, and nephew to the present King.
CLAUDIUS King of Denmark
GERTRUDE Queen of Denmark, and mother to Hamlet
HORATIO friend to Hamlet
POLONIUS Principal Secretary of State
LAERTES son to Polonius
OPHELIA daughter to Polonius
GHOST of Hamlet's Father

170ページの本文の中には、さまざまな出来事が高密度に詰められているので、当時の人(1600年代の最初)には、ものすごく面白かっただろうなと思いました。現代では、古典として学術的な研究の対象ですが、もともとは生き生きとしたベストセラーだったはずです。
1600年の頃の「インディ・ジョーンズ」や「スター・ウオーズ」だと言うとひんしゅくをかうかも知れませんがね。「スター・ウオーズ」のスクリプトよりも圧倒的にダイナミックに心が
踊りました。

 

肝心の私の英語の理解度ですが、語句の説明を見ないと最大で10%近くの単語の意味がわかりません。10%というと100語のうち10個ぐらいわからない単語が出てきます。どういう理解度かと言うと、ストーリーの大筋はわかるけれど、細かい人物の表情や、小道具の意味や使い方まではわからないレベルです。つまりかなり頻繁に面白いところを見落としてしまうのです。

語句解説をみると全部理解できるのですが、この本は特に解説が優れているからでしょう。

解説を見ないと絶対に分からない、と思った語句がたくさんあります。たとえば印象的だったのが、最後の決闘の場面でKingがワインの入れ物に毒を入れるところが、
「And in the cup an union shall he throw,」
となっています。この文を全部知っている単語だとなめてかかると毒を入れたのだとは見落としてしまいました。
「union」が「pearl 真珠」という意味なのだそうです。
Pearlが実は毒のつぶなのですね。
そして、Kingは
「Hamlet, this pearl is thine; Here's to thy health.」
と言って杯をハムレットに渡します。Pearlを飾りとして入れる習慣があったようです。日本酒の金箔のようなものでしょうね。

Queenがあやまってこの真珠が入った杯を飲んで死んでしまいますがその直後にHamletがKingにむりやり飲ませようとして叫びます。
「Drink off this potion. Is thy union here? Follow my mother.」

21世紀になり、ハリウッド映画やミュージカルでとてつもなく面白いエンターティンメントを経験したあとでは、ハムレットは正直、それほど面白いものではありません。
また、かなり、この時代の英語の語句の使い方に慣れないと100%近く理解することが出来ません。

私は英文読書の経験から、分からない単語が全体の5%よりもはるかに少なくならないと細部までは十分に楽しむことができないと考えています。

1971年に散々苦労して、ろくにわからずに1ヶ月以上かけて読んだ本です。なつかしいというか、感慨深いものがあります。今回は4日程度で、細切れの時間で読みました。

また何年かたったら、もう一度この本でハムレットを読んで見ようと思います。次は95%以上の理解度になっていれば良いなと願いながら。
(私が学生だった当時の大学の英語の八木先生はシェークスピアを面白いと言っていました。沢山の作品を読んで、語句の使い方に慣れてしまえば、そうなると今回思いました。まだスター・ウオーズなどのない、エンターティンメントの少ない時代だったせいも
おおいにあると思います。

はたして私の場合、老後はどうなるのでしょうか・・・