Viktor.E.Frankl

2000/2/11, 2011/5/11

Man’s Search for Meaning

* * * * * * *Copyright 1959 おすすめ度★★★★★+★

この本は、せっかく人間として生まれたのだから読んでから死ぬべき本だと思っています。 相当前にはやった「読まずに死ねるか!」のノリですね。その昔1990年代に、 Japan Timesの「こころを伝える英会話」の著者のジャネット先生にBeach Music を薦めたところ、この本を教えてくれました。

人間の幸福について考えさせてくれる、インパクトのある本です。 心理学の用語が多く、ドイツ語からの翻訳であることから、やや読みにくい本ですが、内容が深く、人間のどん底に無理なくつれていってもらえるので、イッキに終わりまで読みました。 最近(2000年2月)また話題になっているようで、紀伊国屋に数冊積んでありました。

ただし内容はとても重い本です。

 著者がアウシュビッツの収容所に入れられた様子を、心理療養者の視点から、人間の 尊厳、生きる意味を問いかけてきます。 肉体の限界にさらされた時に、生死のわからない妻と想像上の会話を続けてしのいだ様子は、Message in a bottleの主人公が亡き妻と想像上の会話をするところにつながってしまいました。 

収容所で生き残った仲間に共通していたことは、「自分にはまだやり残したことがある。」と少しでも考えている人は、絶対に生きる
可能性を捨てないという事実。 どの文章にも説得力があります。
(新潟の9年間監禁の娘さんも、生きるんだという希望を最後まで捨てなかったコメントしています。ナチス同様に許せない犯罪ですが。)

著者はGreek Logos=meaningから合成したLogotherapyの提唱者です。 精神障害を、生きる意味を一緒に探すことにより克服させる心理療法です。 
He who has a why to live for can bear almost any how. (Nietzsche)
を座右の銘に加えたいと思います。
1999 年に読んだ本のなかから一番おすすめします。(2000/2/11)

2011/5月の朝日新聞の夕刊にフランクルがシリーズで取り上げられました。そのなかの一節: Franklの『夜と霧』の一節「ユーモアも自分を見失わないための武器だ。ユーモアとは、知られているように、ほんの数秒間でも、周囲から距離をとり、状況に打ちひしがれないために、人間という存在にそなわっているなにかなのだ。」
極限の視点からのアドバイスは心を強く打つものだと感心しました。