STIEG LARSSON

2012/7/27

The Girl with the Dragon Tattoo

Copyright Original 2005, Translation 2008
* * * * * * * YL:7.7 / P644   2012/6/27読み終える
おすすめ度★★★★★ 語数:165,392

感想:

ブームの時に第1巻の本を買ってあったのですが、映画を見てからようやく読みました。
映画は『ドラゴン・タトゥーの女』USリメイク版から見ました。
ダニエル・クレイグ、ルーニー・マーラ主演。少女失踪から38年、
二人が明らかにしていく真実。これは面白い、ページ・ターナーですね。
スエーデン映画も録画してあったので見ました。
スエーデンの映画も原作に忠実です。
しかし、米国映画のほうが、読んでいてハイライト的にすっきりするところがていねいに忠実です。
最後にリスベスが口座間にお金を移動するところが米国版の映画ではうまく描写されています。
悪い利権者を懲らしめるところがあるUS版のほうが個人的に好きです。
原作と2つの映画が異なるのは、原作では、最後のところで真犯人を警察に教えないところです。

これはすごい本だと終始感じながら読み進めました。
面白いとか、ページ・ターナーだとかの表現を超えた、すごいことが今
起きている、それを体験しているという感覚です。
最後の80ページも賛否があるようですが、ここは悪い利権者を懲らしめるところ読者への
サービスなので、物語が終わってしまうのを惜しみながら読みました。

著者が心臓発作で、本の世界的な成功を見ることなく2004年に死亡したことが残念です。
この悲劇もヒットに結びついたのでしょうね。著者は、主人公の Mikael Blomkvist以上の
仕事人間だったようです。体を酷使して、ろくな食事もとらずに体をこわしたのだと
思うと、もし次の作品を書いたらどうなっただろうという期待があるので、残念です。
本人も残念でしたでしょうね。

本作のヒット規模は、スエーデン始まって以来の出来事です。
映画のヒットも、スエーデンの過去でなかった最高のヒットだそうです。
おかげで、スットクホルムへの観光客が増えて、著者と作品にちなむツアーが毎日のように
組まれています。

 たいていは、本を読んでから映画を見るのですが、本書は逆になりました。
本のほうが記述がよりていねいで、細かい描写と段取りがつながってくるので、
映画を超えている良い例だと思います。

登場人物・物語・

Mikael Blomkvist:  ミレニアム社 Millenniumの記者、主人公。
  資産家の Hans-Erik Wennerstromの裏側をあばいた記事を書いたために名誉棄損で有罪にされる。
  最後に、Wennerstromを追い詰めるところが痛快。
Lisbeth Salander: もう一人の主人公。
  背中に大きなDragon Tattooがある、わけありの不良・パンク的な女の子。

Erika Berger: ミレニアム社の持ち主。Mikaelと時々恋人。

Henrik Vanger: 1920年生まれのVanger財閥家のボス。 Vanger家の経営はMartinにゆずった。
  MikaelにHarriet失踪事件の捜査を依頼したことが、この物語の始まりであり、終わりのハイライトになる。

Martin Vanger。1948年生まれ。
  Martinの父は、Gottfried(1927-1965)。母はIsabella(1928生まれ)で育児を顧みなかった悪女。

Harriet。1950年生まれ。Martinの妹。1966年9月24日(当時16歳)に突然いなくなり、以後の消息は不明のまま。

Birger(1939生まれ)、Cecilia(1946生まれ)、Anita(1948年生まれ、ロンドン在住)の3人は兄妹。

第1章 12月20日、第2章、第3章 12月21  第4章 12/23 -26 のように章のタイトルが月日になっている。
終わりの第29章は11/1 - 11/25。EPILOGUEは11/27 - 12/30。
ストーリーは、ほぼ1年間の出来事。

   

The Girl who played with Fire

Copyright 2007,  Translation Copyright 2009
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おすすめ度★★★★★ 187,024語

3部作の2番目です。主人公は、Mikael BlomkvistとLisbeth Salanderです。
3作とも英文タイトルは、The girl with, The girl whoで始まっていることからThe girlのLisbethが
主人公です。



感想:

映画(スエーデン版)を見てからようやく読み始めました。映画を超えている良い例だと思います。
オリジナル言語はスエーデン語ですが、英語訳も素晴らしい出来ですね。引き込む力があります。
どれだけすばらしいかは、「読むというそのことが楽しい」状態にしてくれることで実感できます。
この状態が、この本全体にわたって続きます。これはすごいことです。

 Lisbeth Salanderは外見はパンク・ロック歌手のようですが、Photographic Memoryの持ち主で、
天才的な記憶力があります。物語の冒頭ではパズルを解くような数学の魅力に取りつかれ、
記憶力が良いことから、数学科の学生George Blandに数学を教えたことから、数学の女神として
あがめられます。こういう著者のサービスも楽しいですね。

 第2巻も、読んでいると次はどうなるのかが読みたくなって、最後まで一気に読まされる感じです。
まさに私にとって(人によっては異なると思います)ページターナーでした。

登場人物・物語・

Mikael Blomkvist:  ミレニアム社 Millenniumの記者、主人公。

 Blomkvistの友人夫婦が銃で殺害され、現場に残された銃の指紋から、Salanderが犯人として、
(Swedenの)全国指名手配されます。同じ日にSalanderのgurdianも殺害され、この殺人も
Salanderが犯人とされて、警察が探し始めます。
BlomkvistはSalanderが犯人ではないと信じて、犯人との接点として、Zalaと言われている、
Alexander Zalachenkoという人物を追いかけ始めます。

 SalanderはZalachenkoを宿敵として追いかけ、殺害しようとしますが、逆に銃で頭を撃たれて瀕死の重傷を負わされ、
第2巻が終了します。



The Girl who kicked the Hornet's Nest

Copyright 2007, Translation Copyright 2009
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おすすめ度★★★★★ 210,000語 2012/7/19読み終える。

 第3巻が最終巻です。瀕死の重傷を負ったSalandarが病院に運ばれるところから話が始まります。

 映画を見てから読みました。結末はわかっていたのですが、政府から隠されていた悪を最後には倒すという
できすぎのストーリーなのですが、そういうのが好きなので、楽しみながら最後に至る物語を文字で堪能しました。
映画はわかりにくいシーンは飛ばしたり、これだけ長いストーリーだと人物の描写は浅くなるので、
本の方が詳細に濃密に状況が伝わってきたので楽しめました。

 第3巻のハイライトは、Salanderを精神的な視点から精神病院に隔離することが目的の
裁判のシーンです。並行して、秘密警察のSectionの陰謀者が次々に逮捕されます。
これに合わせて、ミレニアム社からSectionの陰謀を暴露したスクープ特集が出版されます。

 著者のSTIEG LARSSONは出版してすぐに過労で亡くなったことがとても残念です。
著者に関するTVドキュメンタリーを見ました。本の中のMikael Blomkvistも作家です。
深夜まで原稿を書いて、2:00 -3:00に睡眠をとるところなど、著者ととても似ていると思いました。
著者はスエーデン中の出版社に原稿を持ち込みましたが、ほとんどから出版を断られました。
持ち込んだ時には、すでに第2巻までできていたそうです。
 著者が亡くなった時には、第4巻の原稿が途中までできていたそうです。
これを誰かが書きあげて、出版するかどうかは、神のみぞ知るです。

 とても良くできたストーリーだと思います。
映画を見てから読むか、読んでから映画を見るかという問いには、映画を見るのは我慢してから、
まず本を読むことを実践してきましたが、この作品に関しては、映画を見てから本を堪能する
ことをお勧めします。

 「読まずに死ねるか!」と言える作品です。