Stephen Hunter |
* * * * * * *Copyright1980
The Master Sniper
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おすすめ度 ★★★★
2004/3/7読了
ずいぶん前に書かれた作品です。
ストーリー:
時間と場所は、1945年の春、ドイツ軍が連合軍に敗れる前に話が始まり、ハイライトはヨーロッパでドイツからの自由が宣言された次の日です。主人公はMaster
Sniper(狙撃手)であるRepp。彼はドイツ軍のドイツ人です。もう一人の主人公はアメリカ軍でイギリスに来ているLeetsでReppを追いかけます。
Reppはドイツ軍の伝説的なSniperで以前ロシアにおいて、せめて来るロシア軍を小さな町の教会の尖塔の上からほとんど一人で、弾薬係と食い止めた場面が出てきます。昼間の8時間(たぶん)で教会の尖塔の上から、ビル影から出て攻めてくるロシア人を実に合計350人を狙撃し、ドイツ軍の敗退を食い止めます。この作品では、著者が以後に磨きをかけるゴルゴ13のような狙撃のシーンを垣間見れるのは、この場面と、最後の対決の場面だけです。
LeetsのGirl friendがドイツ軍のユダヤ人虐待を軍に知らせて一人でも多く助けようと活動しています(終戦まで捕虜収容所の実態は連合軍には知られていませんでした)。Shmuelという一人のユダヤ人がドイツから救出され、捕虜収容所の実態が明らかにされていきます。Shmuelのいた収容所では、Reppが新しい武器のTestをしていました。
ドイツ軍が敗退している中で、Reppは新たなミッションに向かい、南下してゆきます。Leetsはそのミッションの目的を探り当て、阻止しようとします。
途中に、赤外線Scopeの開発名がVampirであることがわかります。Vampirのシステム全体が60kgありましたが、Reppが40kgまで軽量化することを要求します。開発者の必死の努力により軽量化にほぼ成功。最後のシーンでは、ReppはVampirを担いで峠越えを行います。
感想:
赤外線のNight Scopeが後半のReppの武器なので、Black
Lightにつながる作品かもしれません。著者は赤外線Scopeに趣味でもあるのでしょうか。また読んでいてKen Folletの初期の作品と似ているなーと私は思いました。そう感じたのは戦争と、スパイ、あるたくらみとの組み合わせからだと思います。この著者の作品は、ゴルゴ13の漫画を読むように痛快なのでこのThe
Master
Sniperもエンターテイメント的に読もうとしましたが、がんがん引き込まれることが無く、忙しかったこともあり、読み終わるまでに1ヶ月かかってしまいました。Passしても良かった作品だと思いますが、Stephen
Hunterのファンにはそれなりに面白いと思います。
* * * * * * *Copyright 2001
Hot Springs
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おすすめ度★★★★★
今回の主人公はEarl Swagger。たぶん前作までのBob Lee Swaggerの父親です。たぶんというのは、この物語の最後に
難産の末にEarlに男の子が生まれますが名前が明らかにされずに物語が終わっています。Earlの父親がCharlesです。
CharlesはPolk Countyのヒーロー的なシェリフでした。Charles(おじいさん), Earl(父), Bob Lee(孫)の関係です。
EarlにはBobby Leeという弟がいました。Earlが出征中に家で死んでしまいます。Earlは自分の子に弟の名前を
つけるのだと思います。
物語の時代は1946年。場所はArkansas州のHot Springs。題名のHot Springsは都市名からきています。1946年は
ラスベガスがまだ出来ていない、計画がようやく始まった頃のようです。Hot Springsはラスベガスの前身
だったのでしょう。地図で見るとかなり大きな都市のようです。1946年のここではギャンブルは一応違法ですが、
ギャングのボスOwney Maddoxが牛耳って営業しています。
物語は、Earlがホワイトハウスで第二次大戦の太平洋であげた功績からメダルをもらうところから始まります。
その帰り道で、政治家をめざしHot Springsの浄化に野心を燃やすFred C. Beckerに声をかけられ、雇われて
12人の精鋭部隊の隊長となり、彼らを鍛え上げOwneyの経営する賭博場に押し入り、違法なスロットルマシンの
破壊、売上の押収などの手柄をあげます。Owney側も、わなを仕掛けて待ち伏せ、壮絶な銃撃戦が展開されます。
ここのところの描写は著者の独壇場です。映画を見るような臨場感で戦闘シーンが展開されます。
勝ったり負けたり、最後には逃げるOwney等6人をひとりで追いかけ、再び戦闘シーンに入ります。
第一級のエンターティンメントに仕上がっていますが、時代が古いので、頭でこの時代はこうだったんだろうな、
という多少の時間的な翻訳が必要でした。人種問題などがそれです。
次の作品の Pale Horse Comingはこの話の続きで、1947年から始まるようです。Paperbackになったらぜひ
読みたいと思います。
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Time to Hunt
Copyright1998
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おすすめ度 ★★★★★
主人公は再びBob Lee Swaggerです。今回もBobはStephen Hunter版ゴルゴ・サーティーンです。ストーリーの構成、
展開がとてもよく出来ているので、イッキに読みました。
この話では、Bobは結婚して娘がいます。 娘と妻が乗馬をしているところを何者かに狙われる(狙撃のため)ところから始まります。(P1-P7)
1971: PART I
話は、いったんベトナム戦争時代の1971年の反戦活動が話題になり、Donny
Fennが話題の中心になります。Marine生活とDonnyがモラルの課題に直面させられます。(To
be or not to beのシェイクスピアからあるテーマですね。)(P8-P109)
1972: PART II
場所はベトナム。前作の"Point of Impact"でSwaggerはベトナム狙撃のヒーローと紹介されて
いますが、今回はくわしく書かれています。ベトナムに送り返されたDonnyがSpotterとしてSwaggerとペアを
組んで活躍します。戦争は無くなってほしいので、戦争の描写は読みたくないのですが、ゴルゴサーティーンと
割り切って読みました。Swaggerの活躍に対抗して、敵側はロシアの超一流Sniper、Solaratovをベトナムに
送りこんできます。(P110-P310)
現在; PART III
出だしの7ページの続きです。狙撃したのはSolaratovです。ここは皆さんのたのしみのために内容は省略します。
SwaggerはSolaratovとその背後の陰謀を暴こうとします。(P311-P560)
PART IV
最後にもう一度、ストーリーの展開があります。(P561-P592)
このジャンルに興味のある人々に文句無くお勧めです。
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Black Light
Copyright1996
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おすすめ度 ★★★★★
2002/9/8読書済み
私はこの本を実は「Hot Springs」(2001年作)の後に読みました。Time
to Huntよりも後に読んだのです。これは失敗です。なぜならば、この本を読み始めて気がつきました。
Point of Impact → Black Light → Time to Huntはこの書かれた順で、Bob Lee
Swaggerの3部作になっているのです。
(本の最後のAcknowledgmentsを読むと、Point of Impact, Dirty White Boys, Black Lightの3つが3部作と言っています。Time to Huntも入れると4部作になりますね。
主人公はBob Lee Swaggerです。彼はBobは結婚して娘がいます。 娘が4歳なので、時間的には「Point of Impact」のあと「Time to Hunt」の前です。
ストーリーは、若い作家Russとともに、父親の死の真相を探りに行く話です。父親のEarl Swaggerは1955年7月23日に2人の強盗を捕まえようとして、銃で撃たれて死んでいます。強盗もEarlに 殺されていました。Time to Huntを読んだあとなので、Bobがゴルゴ13兼ランボーの実力を持っていることが 分かっているので、安心して 読みましたが、そのぶんはらはらするところが少なかったように感じました。絶対に3部作は、書かれた順番に 読むことをお薦めします。
10人の襲撃のプロの襲撃に対するところが後半になった最初のハイライトです。 ここは夢中になって読みました。最後は、父親Earlを殺したSniperと森の中で戦うところです。ここでBlack Lightが使われます。
Black Lightとは、赤外線のことです。夜のライフル銃撃戦で、敵が赤外線Night Scopeを持っています。Earl Swaggerが殺されたのもこのBlack Lightを使った狙撃であることが、わかります。
この分野に興味のある人に、絶対のお薦めです。絶対にPoint of Impactから先に読んでくださいね。
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Dirty White Boys
Copyright199x
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おすすめ度
そのうちに読むつもりです。
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Point
of Impact
Copyright1993
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おすすめ度 ★★★★★
この本をもとに、2009年に「ザ・シューター 極大射程」という映画が作られました。
この映画もおすすめです。
ひさびさに後半部分を夢中になって読みました。
紀伊国屋で「このミスがすごい(確か?)。1999年度一位」とあったので買っておいたものです。
主人公のBob Lee Swaggerはthe best Marine snipers in Vietnam
でした。本の初めの3分の一は、まるでゴルゴ13の世界です。
BobはTimという伝説のかもしかを撃つために雪の混じる山の中で17時間じっと待ちます。Timを撃ち、
気絶させて、角を切り取ります。こうすることにより、Timが角を目当てに他のハンターから殺される
可能性を無くして上げます。
心やさしいBebは長距離狙撃の超名手です。1400 Yardsの狙撃が
ゴルゴ13よりも精緻に描写されます。
組織にはめられて、大統領狙撃の犯人として、アメリカ中に手配されます。狙撃現場にいたため、2発の
弾丸を体に撃ちこまれます。
前半は、撃たれた体のリハビリです。ここでは、スティーブン・セガールの「ハード トゥ KILL」のような
タフガイです。
Nickはもと狙撃手のFBI員です。Bobを助けるようになります。
Bobは後半になって、3回大勢の敵に取り囲まれますが、それそれ
痛快な方法と狙撃の腕で、切りぬけます。ここはあたかも「ランボー」の映画のようです。「ダイハード」の
要素も入っています。
後半になって、読むのをやめられなくなりました。話しの展開が早いのと、どちらかというと、男性向きです。
司法当局につかまってしまったBobは最後の法廷で悪の組織に対して大逆転をします。
久しぶりに「はまった」ペーパーバックです。
ものすごくお奨めです。
Point of impactの題名は、ライフルのトリガーの撃鉄と弾の接触点のことだと思い ましたが、いかがですか。最後の法廷の場面でその意味が分かります。
2001/1月の記入: この本が面白かったのがきっかけで、「このミスがすごい」の2000年度版も買いTOP10を
スカイソフトの35%引きキャンペーンでまとめ買してしまいました。