Pat Conroy

不思議なリアルな感じの英語を書く作家です。

* * * * * * *Copyright 1999
Beach Music
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おすすめ度★★★★★

今のところ、Pat Conroyのベスト作品です。というよりも、1998年に私が読んだ本のベストです。 「英語でここまで表現できるのか。」と感銘を受けた作品です。妻の自殺のショックをやわらげる ために、娘とローマに暮らしていたJack McCallは、義理の妹のもとめでアメリカに戻り、クラス メイトとの再開、妻がHolocaustの恐怖におびえていたこと、ベトナム戦争の爪あと、家族の秘密と よりをもどす
こと・・・。
 
リンギストのアメリカ人から、今まで読んだノンフィクションのうちのベストだからぜひ読めと 薦められた本です。不思議なリアルさで語りかけてくる本です。私からも強くおすすめしたい本です。

ただし、いきなりPat Conroyだときついと思います。Paper Backに慣れてから、(10冊以上読 んでから)ぜひ、チャレンジしてみてください。

複雑な人間の心理をたくみに表現しています。どんどん読めるというよりも、誰かが朗読して いるのではないかと思えるほど、不思議と英語の音が頭に響く作品です。とにかく不思議な 英語です。
 
夏目漱石の最後の作品「明暗」を読んだときに感じた不思議な感覚を感じました。あまりにも 言葉が精緻で、しかもシンプルなので、
読んでいるというよりも、透明な言葉越しに、いきなり人の心を聞いているような感覚でした。 (2000/2/14加筆)

白倉さんから読んだといううれしい お便りをいただきました、
以下に引用させていただきます。(2000/3)

「「この作者は実に様々な話を詰め込んで、それを一つの作品としてみごとにまとめていますね。 書評にもあるようにどのページにも情熱を感じます。

South Carolina がどんどん魅力的に描かれていくのが印象的です。ああ、アメリカの作者だな、 と感じます。末の弟 John Hardin の要求で4人の兄すべてが川に飛び込んでいろいろなことを 語りながら泳いでいく部分は映画監督ならどう描こうかと腕が鳴る場面ではないかと思ったり しました。

親たちの想像を絶する過去については圧倒されました。Max "The Great Jew" Rusoff の逸話が闇の中の光のようで陰影を深くしています。」
 
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The Prince of Tides Pat Conroy Copyright1986
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物語:
映画化されたこともあり、Beach Musicよりもアメリカ人には知られているようです。主人公のTom WingoとTomの双子の姉(妹?) で詩人の才能があるSavannahを中心とした、40年にわたる家族の物語です。South Carolinaの 漁師であり山師で問題の多い父親と、屈折した家族関係がていねいに、honesty and resounding with dramaで描かれています。

どちらかというと問題の多い家族ですが、人物とその心理が生きている人たちに接している ように、リアルに表現されています。

著名な詩人であるSavannahが自殺を図り、精神科に収容されます。TomはSouthキャロライナからNYに上京します。そこで治療を担当している精神科の女医からSavannahの治療のために、家族の様子を理解するためのインタビューを受けてゆくことがメインなストーリーです。Tomと彼女はだんだんと親しくなり、Tomは家族を襲った悲惨な出来事を少しずつ語り始めます。

感想:
後半に出てくる、家族に起こった事件が衝撃的なので、一般的な家族愛とかラブストーリーではない作品に仕上がっています。ものごとを楽観的に考えたい私としては、少しきつい物語でした。良い作品ですが、Beach Musicの方が好きです。