2007/2/12
このページは、LADDERシリーズで私が読んだ本を紹介します。LADDER
Seriesは多読のブームに乗って、発刊を増やしています。発行はアイビーシーパブリッシング(株)です。特に2006年に気が
ついたときには、かなり充実してきていました。
本の帯にある宣伝文です。「語学上達の秘訣はなんといっても多読です。洋販ラダーシリーズは、使用する単語を限定して
段階別にやさしく書き改めた、多読・速読に最適な英文リーダーです。本文中の知りたい単語が全て載ったワードリストが巻末に
付属、辞書無しでどこでも読書が楽しめます。」
私も英語の講師をしていて、多読を勧めています。生徒も次第にラダーシリーズを読む人が増えています。その中でも、
人気があった本は、私も読むようにしたいと考えています。どのレベルの人にどの本を薦めたらよいのかを把握するためです。
レベル | 使用限定語彙 | 対象英語レベル |
LEVEL 1 | 1000語 | TOEIC 300点以上 / 英検4級以上 |
LEVEL 2 | 1300語 | TOEIC 350点以上 / 英検3級以上 |
LEVEL 3 | 1600語 | TOEIC 400点以上 / 英検準2級以上 |
LEVEL 4 | 2000語 | TOEIC 470点未満 / 英検準2級以上 |
LEVEL 5 | 制限なし | TOEIC 470点以上 / 英検2級以上 |
この本は、多読の授業で、初心者に第1番目に推薦している本です。野球に興味がある男性はほぼ全員、「俺にも英語で本が読めた!」 という感想をもってくれる本です。そして、洋書を読む多読の長い道のりの旅に出発します。
2008年からは、私の多読のクラスでは、この本を全員が読むべき本に指定しました。
野球に違和感が無ければ、上記のIBCオーディオブックスをオススメします。CDは全文を読んでいます。男声ナレーションは、ややゆっくりですが、アメリカのメジャーリーグの野球放送の雰囲気をうまく伝えています。
「松井のすごさがわかった!」という生徒の感想もよくあります。私も読んでみて、松井秀喜の子供の頃の様子がわかり、すごさが再認識できました。
(以下はほとんどが感想です。)
日野原重明先生のベストセラー『生きかた上手』の英訳版です。
英語学習書を越えていて人生について考えさせられた良書です。私は日本語版は読んでいませんが、この英語版は必読書としてお勧めします。
不治の病にかかった身内には、「病状を知らせてきちんとお別れの言葉を交わすべきだ、特にお互いの感謝のことばを かけ合う機会を設けるべきです。」というご提案を支持したいと思います。できるかどうかは難しいとも思いましたが。
本の内容が良いのですが、それよりも勇気付けられることは、先生が自ら行動していることが、 「ひょっとして、私も90歳を過ぎても(趣味を生かして)働いていていいのだ。」「今から何かを始めても良いのだ!」 と思わせてもらえることです。
「65歳ではまだまだ若者、75歳になってようやくElderlyと言える。」
健康であれ!と本は言っています。この健康とは体よりもむしろ、心の健康です。「もう年だから、今から始めても手遅れ。」 「もっと若いときに知りたかった。」ということばが定年を過ぎた人々から良く聞きます。そのたびに、さびしくなります。 ぜひ日野原先生のこの英訳を読んで、英語を通して考えることを行って欲しい。
芥川龍之介の短編『杜子春』がラダーシリーズで英文で出ています。レベルは最も易しいLEVEL1で、基本の1000語以内で書かれています。
社内で多読をすすめていますが、多くの人から、特に超とつく初級の人々から、とてもよかったという感想を聞いているので、私も読んでみました。
物語は、中国の古典の『杜子春伝』に由来しています。主人公の杜子春(男性)は良家の生まれですが、現在は貧乏です。 唐の洛陽の西門で不思議な片目の老人に会い、金貨を掘り出します。裕福な生活をしますが、お金を使い果たし再び西門で老人にめぐり合います。
この本は、1ページの文字数が少なく、しかも全部で50ページです。1ページは多くても14行です。 したがって15分もかからずに読めてしまいます。それでも面白いので、英語学習の初心者にとって貴重な存在の本です。
英語学習のおいて多読の効用はとても大きいのです。多読は、語彙が少ないうちから可能です。Graded Readerが英米の小学生、中学生用にたくさん出ていますが、これから英文読書を始めようとする、日本人の初心者にも、とてもよい本です。
Graded Reader以上に、初心者が重宝するのが、ラダー・シリーズです。この本は日本で作られているので、 本の最後に英文和訳の語彙集があります。したがって辞書を持ち歩かなくても単語の意味を知ることができます。
ラダーシリーズで読んだRoald Dahlの短編集もとても面白く読めました。
物語:
主人公がフランスの南のプロヴァンス地方を旅したときにアルプスの荒れ果てた土地の村で出会った無口な
Elzeard Bouffierが木を植えるお話です。Bouffierは廃村になりかけたまわりの荒地に木を植え続け森を作り1947にBanonで
亡くなりました。Banonはアビニョンの東北に実際に存在する場所です。
感想:
この物語の存在は以前から知っていましたが、Paperbackの初心者用の本を探していたところ、本屋で洋販ラダーシリーズで
見かけたのでこのシリーズを調べるために購入しました。
この作品は1953年にGionoがある出版社から、「これまでに出会った、最も忘れがたい人物」の依頼を受けて書いたものですが、
実在の人物を想定していた出版社の趣旨と合わなかったために、原稿が送り返されたそうです。Gionoはこの作品の著作権を
放棄して、この作品を全ての人にささげることにしました。
1954年に米ヴォーグ誌が英文で出版。原題は L'homme Qui Plantait Des Arbres。仏語に興味がある方は、WEBで検索すると、すぐに見つかると思います。短い文章なので、全文を簡単にダウンロードできます。
本書の英文はアメリカ非営利団体 Friends of
Nature版を底本にしたそうですが、仏語に忠実にしたためなのか少し引っかかりを感じましたが。語彙制限無しです。
物語は、一人の人間が何年もかけて大きなことをした元気を与えてくれる本です。誰にでもお勧めします。