KEN FOLLETT

2012/6/16: 2010/4/30: 2005/6/3

Ken Follettは私が30年近く愛読している、作品に外れのない作家です。
いまだに現役で作品を出しています。
新しいペーパーバックを見つけたら必ず買うようにしているイギリス人作家です。

Ken Follettは超有名なスパイ4部作でデビューし、ベストセラー作家として不動の地位を得ました。
以下の4作です。どれも友人の宮Xさんから借りて読みました(30年ほども前)。

Eye of the Needle 著者27歳の1978作品・出世作
Triple 1979
The Man from St. Petersburg
The Key to Rebecca 1980

この4作はずいぶん前に、宮Xさんにすすめられて読みました。ペーパーバックへの入門となった本たちです。
いつかまた読みたいと考えています。Ken Follettの作品は全部読みたいと思っています。

これ以降に読んだ本の書評を以下に書きます。

その後、歴史長編『The Pillars of the Earth』(1989)が世界的なベストセラーになりました。
その続編にあたるのが、『World Without End』(2007)です。



Fall of Giants

* * * * * * *Copyright 2010  2012読み終える
おすすめ度 ★★★★★+★ P  267,000語

Century TrilogyのBook One
先に読んでからこれを読むと、楽しみが倍増します。

1910年代の、歴史を舞台にした、策略と愛などの壮大な人間ドラマです。






World Without End

* * * * * * *Copyright 2008  2010/5/10読み終える
おすすめ度 ★★★★★+★ P1237  447,000語

これは、独立した一つの作品としても楽しめますが、『The Pillars of the Earth』を
先に読んでからこれを読むと、楽しみが倍増します。

1350年前後の、歴史を舞台にした、策略と愛などの壮大な人間ドラマです。
イギリスがますます第二の故郷に思えてきました。

感想:

わおー、すごい作品です。 おもしろかった―!
「読まずに死ねるかー!!」と言える作品の一つです。
1000ページもあるので、達成感・満足感とともに、
最後の数十ページはゆっくりと味わうように読みました。


『World Without End』では、Carisと Merthinが中心人物です。
ちょうど、AlienaとJackが『The Pillars of the Earth』の後半の中心人物になっているように。
壮大な、ドラマになっていて、歴史も良く調べていて、上質な物語にまっていると感じました。

 読者によっては Merthinが主人公と感じるかもしれませんが、
私は女性のCarisを応援しながら読みました。

 本の後半になると、話に引き込まれて、次はどうなるのか待ち切れずに読まされました。
特に、登場人物の会話に引き込まれます。
"You won't be abel to put it down" とIndependent誌の書評にありますが、
その通りの作品です。

Ken Follettの文章の力はすごいと思います。
本を読んでいるのですが、文字ではなく、「人が話している会話」からイメージが直接、脳の中で形成されます。
最近の映画は3Dですごい事になっているようですが、この作品は文字で3Dの空間を
作り出していて、さらに登場人物が生き生きとしています。


Ken Follettは30年ほど前から愛読している、作品に外れが無い(どれも当たりです。)著者です。
最初のころに読んだ、スパイのサスペンス物を書くイメージが強いので、私はどうしても彼からは
スパイアクションやしかけを求めてしまいます。
 その求ていたものが、この物語のあちらこちらにちりばめられていると感じました。
この本を読んで満足した理由の一つです。

『The Pillars of the Earth』よりも以前の作品には、中だるみがあったように感じた何年かの時期も有りました。
『The Pillars of the Earth』を2度読んで、Ken Follettの復活、初期の作品を大きく超えたことを感じました。
歴史物も面白い作家と言うイメージが私の頭に作られて、著者の作品のイメージがリセットできました。

 ウエッブの評価でも、サスペンス作品を抜いて、『The Pillars of the Earth』が最高傑作だと言われています。
『World Without End』の方が面白さでは上回っていたので、さらに最高傑作だと言われるように
なるのは時間の問題だと思います。

『The Pillars of the Earth』はTVシリーズ化されて(6回シリーズ?)2010年6月にイギリスで放映されます。
Ken Follettは映像で物語るには10時間は必要と言っていましたので、実現されたのだと思います。
『World Without End』も必ずTVシリーズ化、または映画になると思います。
The Pillarsよりも、映像にしたら楽しい・面白いと感じながら読んでいましたから。



 12世紀のイギリスの歴史物語です。
言葉に関しては、教会ではラテン語がライブラリーで使われています。
貴族はフランス語を話しています。書ける人、読める人の扱いが面白い!

 物語の後半は、ヨーロッパ全土で大流行したplague(黒死病)がやがて
イギリスにも渡り、多くの人が亡くなっていく年代が背景として設定されています。
そのなかで、主人公たちが生活しています。

 本書では、1347年ごろにヨーロッパではイタリアから始まった様子が、Merthinが
そこに住んでいた設定で描写されます。
修道院の病院では、尼僧がマスクのようなものを口に当てて感染防止をしています。
(マスクが有効かどうかという議論は、この頃からあったのですね。
男の権力者や僧侶はマスクの使用に反発します。)

 Carisの病気の治療の本が英語で書かれて重宝されるところが出てきます。
当時のイギリスの治療技術は、旧い教会の知識と迷信をもとに行われていました。
それを権威をかさにした医者が独占的に治療していたのです。
ヨーロッパ大陸の方が、治療技術が進んでいました。

Jack (Pillars)が大陸に渡ったように、Merthinも大陸に渡り、舞台は国際的になります。
その前に、Carisが大陸に渡っています。
イギリス、フランス、イタリアを舞台にした壮大な物語です。

『The Pillars of the Earth』よりも、娯楽性が倍増されました。
物語の展開が緻密で大胆でスピード感があることが、読者に楽しさを与えるのだと
分析しましたが、いかがでしょうか。

英語に関しては、
書かれている英語は、やさしいといえる部類のものだと思います。

Qなんで英語やるの?

私は英語で読むことが大好きです。
英語は楽しみながらも努力して、発音、語彙、多読などなどを長年にわたり蓄積してきました。
それらの努力の成果が、こういう作品に出会うと、頭の中で踊りだして止まらなくなります。
極上の音楽や料理に出会ったような、感覚にさせてくれます。
「生の英語で感動する力を高める!」
そのことをやってきてよかった!!
それが答えの一つです。

この作品を読んでいると、そのように感じられる至福の時間が楽しめました。

わおー!

物語:

Part1は1327年11月
 4人の子供が森でSir Thomas Langleyが2人のsoldiersに追われて闘うところを見てしまいます。
Caris, Merthin, Ralph, Gwenda
この4人の子供が主人公で、壮大な人生ドラマが描かれていきます。
このシーンは、最後の最後につながります。

Part2は10年後の1337年6月。
Part3も同じ年の6月。
この4人の子供と親がからみあって物語が進みます。
MerthinはJackの血筋を引いて、Builderになります。
Carisは商才がある、賢い女性になっていて、Merthinと恋仲になり。

Ralphはknightになろうとして、nobilityにまだ出世できないでいます。
Gwendaは貧しいが逞しく育っています。Carisと友達。
この先はネタばれになるので、書きません。

Part 4  1338/6 - 1339/5
Part 5  1346/3 - 1348/12
Part 6  1349/1 - 1351/1
Part 7  1361 3月 - 11月



『The Pillars of the Earth』と『World Without End』の
時代背景
* * * * * * * * * * * *
イギリスの歴代の王
ウイリアム一世  1066 - 1087 征服王・ノルマン朝
ウイリアム二世  1087 - 1100  第1回十字軍遠征 (1096 - 99)
ヘンリー一世   1100 - 1135  ノルマン朝
スティーヴン    1135 - 1154  ノルマン朝 無政府時代  『The Pillars of the Earth』の主な時代
ヘンリー二世   1154 - 1189 ブランダジネット朝
             1157 Londonにハンザ同盟商館を許可
リチャード一世  1189 - 1199  獅子王(ブランダジネット朝)
            第3回十字軍遠征 1189 - 92
ジョン       1199 - 1216  失地王(ブランダジネット朝)
ヘンリー三世   1216 - 1272
            第5回〜第7回十字軍遠征
エドワード一世  1272 - 1307
エドワード二世  1307 - 1327
エドワード三世  1327 - 1377  『World Without End』の主な時代
            石炭輸出急増
            百年戦争(1337-1453)王位継承。羊毛市場争奪
            ジャンヌ・ダルク
            1349ペスト。人口が大幅に減少
リチャード二世   1377 - 1399
* * * * * * * * * *



登場人物:(年齢は1337年のもの)
人物の関係は物語の前半部分です。
後半を書くとネタばれになるので、
1346年以降のものは控えます。





           Tom Builder
              *
           Jack ** Martha
              *
   Petranilla       Edmund    Anthony (Kingsbridge prior:橋の落下で死亡)
   *             *
Godwyn (31歳・牧師) Caris(20歳) ** Alice(21歳) + Elfric (再婚の夫・Builder→Merthinを徒弟にしていた)
                                     *
                                    Griselda(20歳)


        Earl Roland of Shiring
             *
   Lord  William(30歳)+Lady Philippa(妻25歳)   Richard(28歳)
(Home: Casterham)


 Sir Gerald (Fitzgerald) + Lady Maud
    soldier    *
            *
Merthin(21歳)(Builder)    Ralph(20歳) (乱暴者)


   貧しい Gwenda(18歳)   Philemon(弟)
      →Wulfricを好き


King Edward III (24歳)

//以上





The Pillars of the Earth

* * * * * * *Copyright 1989
おすすめ度 ★★★★★
 2回目は2010/3/31-4/22n読む。400,974語

これはもうひとつ★を追加しても良いくらいの画期的なKen Follettの時代小説です。
Ken Follettの作品は、初期の4作品が良くできていたので、その後の作品は、少し期待外れ
と思っていた所で、The Pillars of the Earthが出てきて驚きました。
歴史大河ドラマ・イギリスの中世を扱っています。
 友人のM氏がさっさと2回読んでしまったので、どんな所にはまったのか不思議でした。
(ほぼ、20年も前の事です。私は、『どんどん新しい本を読む。2回読むのは定年後』と決めていました。

2010年になって、定年後になったので、私もこの本の2回目の読書をしました。
続編と言われている、『World Without End』を購入していたからです。

2回目を読むときには、以下のことを行いました。

@本に積極的に書きこみをするようになった。
 人物名に囲み。
 その時の年齢などを数字で書き込む。
 単語の意味を書きこむ。

A電子辞書で、積極的に単語の意味を調べる。
 意味の書きこみは、品詞までは正確に訳さない。
 辞書の訳のうち、品詞にかかわらず、文脈に近い
 イメージの言葉を書きこむ。

B本の腹(背の反対の手前側)に年代を書き込み全体のどこにいるのかが分かるようにした。
 この方法は、、『World Without End』を読む前にも実施。

物語は大きく6部で構成されます。
本の腹の該当するページに大きくペンで年代を書きました。
Part One  1135年〜1136   P17 - P284
Part Two  1136〜1137   P285 - P441
Part Three 1140〜1142   P443 - P600
Part Four  1142〜1145   P601- P768
Part Five  1152〜1155   P769 - P902
Part Six  1170〜1174年  P902 - P973

1000ページ近くある壮大なイギリスを舞台にした、教会を建築する人たち
教会の牧師・司教、領主・国王の戦い・政治のストーリーです。

 当時の教会建設がストーリー前半の重要な役割を持っています。
設計し監督する役目がmasonとよばれる棟梁です。石を積むことにより、
The Pillars of the Earch(教会)をできるだけ高く、美しく組み立てる作業は10年以上続きます。
このmasonの技術は当時フランスの方がイギリスよりも進んでいました。
親子に渡る物語の中にはフランスで技術を研修するところも出てきます。

物語

Prologue 1123年。断頭処刑のシーン。処刑された場で、少女が3人
(the knight, the monk and the priest)に呪いの言葉を叫びます。
全容は、最後の章で明らかになります。ストーリーの構成が見事ですよ!

Part One  1135年〜1136   P17 - P284

Tom BuilderやPholipの貧困・苦労が中心の章です。
登場人物は、
Tomの家族
    his wife Agnes, son Alfred 14歳, daughter Martha 7歳
森に住む Ellen,
    息子のJack (Shareburg)
Earl of Shiring、Bartholomew
    娘のLady Aliena、弟のRichard
Philip牧師(この物語の主人公の一人)、兄弟のFrancis

敵側として描かれている、
    William Hamleighs
    Archdeacon, Waleran Bigod

StephenがKingとなり、Earl Robert of Gloucesterと対立。

章の終り付近で、William HamleighがEarl Bartholomewの城を落とし、
Aliena, Richardの生活は没落します。


Part Two  1136〜1137   P285 - P441


Philipの出世物語。KingsbridgeのPriorになり、Cathedralの再建に着手します。
AlienaとRichard姉弟の貧困生活、羊毛売りで命をつなぎます。
章の後半で、Tom BuilderがCathedral建築に向けて、石切り場から
石を切り出し始めます。


Part Three 1140〜1142   P443 - P600

ネタばれにならないように以降は、要点のみ。
  King StephenとMaudの戦い
  Alienaのビジネス成功
  WilliamがKingsbridgeを襲う


Part Four  1142〜1145   P601- P768

Cathedralが崩れる
AlienaとJackが中心の章
物語は、フランスからスペインにおよぶ
  シェルブール、Tours、Toledo、パリ


Part Five  1152〜1155   P769 - P902
Part Six  1170〜1174年  P902 - P973
 William 54 Walter
  宿敵WaleranがPhilipに教会法廷での戦いをいどむ。
   Philipが孤児のJonathanを後継に任命したことに対して・・・


Part Sixの人物情報:

Jackの子 Tommyには3人の子供がいる。Builderにはならず、政治方面に進む
  Jackの娘、Sallyは25歳でまだ独身、Ellenの孫。ステンドグラスの才能あり

物語は、Philipが66歳、King Henryに対して、教会の権力に従うようにする儀式で閉じている。



感想:


2度目は、人物や情景がより鮮明になるので、読んで良かったと思いました。
時間的な余裕ができたので読み始めたのですが、それでも3/31 - 4/22の3週間かかりました。
今回は、辞書をひく読み方をしたことも時間がかかった理由です。
1回目に読んだときに、あとでチェックする単語には赤線を入れていましたが、
今回も、そのほとんどの単語に対して辞書で確認しました。
 (語彙が増えていない・このストーリー特有の語彙がある、などが理由でしょう。)

 時代を踏まえたうえでのフィクションですが、戦国時代・封建時代当時のイギリスの
様子が、庶民の目線で体験できたような、親近感をもちました。
歴史に興味をもったので、『世界の歴史』でこの時代を調べました。
 写真は役に立ちましたが、記述が無味乾燥で、これではイメージがわかない!
と感じました。
次の『World Without End』から、1300年代のイギリスのどのような歴史を体験できるか楽しみです。


補足!:


Ken Follettを私に紹介してくれた友人のMさんは、この本が特に気に入っていました。
この大作を、面白い、面白いと言って、2回通して読んでしまいました。

この本を紹介しているサイトがあります。参考にしてください。
http://www.oprah.com/oprahsbookclub/Your-Guide-to-The-Pillars-of-the-Earth-by-Ken-Follett/1

登場人物のFamily Treeです。
http://www.ken-follett.com/pote/characters.html

教会のイラスト(6枚)
http://www.ken-follett.com/pote/illustrations.html

著者によると、Kingsbridgeはフィクションの街です。
実際の、Winchester, Glucester and Salisburyから馬で2-3日で行ける、Marlborough
の付近が想定されています。

教会は、Salisbury教会のイメージに近いそうです。



このサイトによると、すでにTV Movieが出来るのですね!
2010年にイギリスで放送されるようです。
機会があったら、ぜひ見てみたい! <−− BSで放送されました。良かった!2011

http://en.wikipedia.org/wiki/The_Pillars_of_the_Earth_(TV_miniseries)

TV Movieの紹介サイト

イギリスにはいろいろなイラストの本があります。教会を土台からくみ上げる段階を追った
イラストブックを見つけたので、その本を広げながら、教会が組みあがる様子を読み、
よく理解できました。

Cathedral by David Macaulay

Mさんにもこのイラスト本を貸して喜ばれました。
ヨーロッパの歴史に興味がある方には、特におすすめです。
教会に興味がある方にはなおさらお勧めです。

 

WHITEOUT

Copyright 2003
* * * * * * *
おすすめ度★★★★★    (2005/5/10読了) 114,699語

ストーリー:

Whiteoutとは吹雪、またはブリザードで視界が利かないことを言います。
物語は珍しく吹雪となったクリスマスの日のスコットランドが舞台です。事件を起こしたのは、
治療薬がない Madoba-2というウイルスをスコットランドの医薬品開発会社Oxenford Medicalの
厳重に管理されたラボ(Security Level 4, BSL4)から、有力者の依頼で盗み出す話しです。

上質のロマンスが絡んでいます。ヒロインはOxenford MedicalのAntonia(Toni)Gallo、 38歳、
相手役は高嶺の花のStanley Oxenford社長です。もう孫がいる年齢ですが。

物語の章のタイトルは時間で示されます。まるでヒットした24 Hoursの緊張感で話が進みます。
序章はクリスマス・イブの1:00am。
ToniのチェックでMadoba-2がひとつなくなっていることがわかり、休暇に入った従業員と連絡をとります。
2週間前から休暇に入ったMichael Rossに目星をつけて、安全服を着用してかけつけますが、
既に彼は感染した後で直後に死んでしまいます。

本題は、上記の事件でセキュリティが強化されたにもかかわらず、強盗段が Oxenford Medicalに
進入して、Madoba-2を盗み出します。
これには、ギャンブルで負けた借金のかたに、Stanleyの息子のKitが加わっています。
父親のSecurityカードと指紋データ-を自宅から盗み出します。

感想:

Ken Follett久々の傑作と思いながら読みました。
特に後半は「Eye of the Needle」の手に汗握るアクションを20年ほど前に楽しんだ感覚が
戻ってきました。本の裏表紙には
「Filled with startling twists at every turn, Whiteout rockets Follett to a class by himself」
とあります。ほんとうにそのとおりだと思います。

ストーリーは、犯人がMadoba-2を盗み出した後の後半の部分がページターナーにできていて、
一気に読みました。吹雪がひどくなり、犯人がOxenford Medicalから翌朝10:00に黒幕が
ヘリコプターで受け取りに来る飛行場までの(10Km程度?)のDriveの途中で雪の中に
立ち往生してしまします。夜中です。Kitの提案で、地理的には飛行場に行く途中にある
Oxenford家のレンジ・ローバー(4輪駆動で吹雪でも大丈夫)を盗みに行きます。
車庫にはレンジ・ローバーは無く、賊は家の中に入ってゆきます。

武装した賊と、クリスマスで集まった非武装の3家族がからまったサスペンスです。
傑作の「Eye of the Needle」のプロのスパイと、普通のイギリスの主婦が一軒家の中で戦う
意外な展開と、なんとなく似ていると思いました。
この作品のほうが登場人物が多いので、意外性が数倍高まっています。

英文の難易度は中程度だと思います。会話の文章はやさしいのですが、ときどき、
状況説明の文で、長いものが有ります。コンマで区切られてはいますが。

Hornet Flightは青年が飛行機を飛ばす話でしたね。
飛行機や車のメカニックがすきなので、本作品では子どもが動かすマニュアルのフェラーリの
情景を楽しみました。イギリスはまだまだ車はマニュアル・シフトなので、次
はマニュアルにしようか、などと考えながら楽しめました。

読書はどれだけ趣味と関連して楽しめるかという点もあると思います。


 

Night over Water

* * * * * * *Copyright 1991
おすすめ度★★★★☆   156,678 語

 英国がナチと交戦状態に入っていた1939年の9月に、サザンプトンからNY航路の
飛行機の航路が戦争のために打ち切りとなる最後の飛行が舞台です。
(当時の伝説的な贅沢飛行機 Boeing 314 Pan Am Clipper)
表紙の絵からは、4発プロペラエンジンの飛行艇です。
着陸は、陸上のAirportではなくて、海岸の専用飛行場です。
もちろん、海ならばどこでも着水可能な安全な飛行艇です。

 Netで本の解説を読むと、「Ken Follett版のオリエント急行」を見つけました。
なるほとうまい表現です。当時の上流階級の人々の模様が描かれます。
 誘拐犯が飛行船の技師 Eddie Deakinの妻をMaine州の自宅から誘拐してBangor沖に
不時着させようと企みます。乗客の誰が狙いなのか?
 犯人を輸送中のFBI? ロシアの王子? 英国の実業家? アメリカの映画俳優?
第二次世界大戦の時代背景の物語は、さすがにおもしろいですね。

Hornet Flight

* * * * * * *Copyright 2002
おすすめ度★★★★★   2004/5/31読完  128,278語
面白くて読みやすかった。ゆっくり、じっくり読みました。この本を読むのに2か月経ちましたが、
途切れ途切れで読みました、ページを開けると前の場面が強く記憶に残っていて、
すぐに情景が浮かんできて、途切れる事感じはしませんでした。

物語:
ドイツ軍がオランダに侵攻してきた1941年6月の物語です。主人公は18歳のオランダ人学生
Harald Olufsen。実家のあるSande島でドイツ軍のレーダ基地を偶然知ります。
兄はレジスタンスに入っていますが、 Haraldを巻き込まないようにしていました。
この情報は急いでイギリスに知らせる必要があります。 Haraldの友人は裕福な家庭で、
倉庫代わりにしていた教会には修理が必要なHornet Moth複葉機があります。
Haraldは飛行機の操縦などできませんが、友人の姉、Karenはパイロットです。

タイトルのHornet Flightからすぐにストーリーの流れが想像できます。第二次大戦の
サスペンスはKen Follettの得意とするものです。これも一流の作品ですが、以前の作品とは
少し違うなと感じました。主人公はスーパーマン的なスパイではなく、ごく普通の学生です。
戦争と言う異常な状況の中で描かれている生活が読者を引き込んで、共感を呼びます。

 

感想:
Paperbackを読む事に対して、少し考えました。がつがつ読むという段階はとっくに通り過ぎて
いたと感じたからです。なぜレンタルビデオを見るのか?面白そうな作品があることが、
毎週レンタルビデオ屋に行くと情報として入ってくるので、目にすると借りて来て楽しみます。
「アー面白かった」と感じるので、また次の週に別の物を借りてきます。
今は24Hoursにハマッテいます。

Paperbackの場合は、ほんとうに面白いのか、今何が出ているのかなどの情報は、
少し探して見ないと分かりません。昨年、今年と海外に行っていないので、現地の本屋に入って
得られる、どんな本が読まれているか、という情報が入ってきません。SkysoftでPaperbackを
買っていますが、過去に読んだ作者の新しい作品をどうしてもオーダーしがちです。
(2010年の時点では、amazonです。)

今までは、私にあった作品にハマルと寝食を忘れて読んでいましたが、同時に英語を
スラスラ読もうとする修業的な潜在意識も働いていました。
1年に10,000ページは読もうと目標を決めて読んでいましたが、今年からは、もう自分に
修業的なことを果たすのはやめようと思いました。好きな物を好きなように読もう。
もう修行する必要は無いのだからと自分を解放しました。
英語を読むために必要な文法はもちろん、語彙も蓄積を続けています。
長年身に付いている修業的な意識はもう持たないほうが良いと感じています。

文字の世界に、より純粋に没頭したいと考えているうちに、リラックスした状態が
最も読書にふさわしいと思えて来ました。リラックスして読める、なおかつ頭の中では、
知的情報が動き回っている、その感覚を楽しんでいる。そんな読書をしていたい。
この気持ちの変化からなのかどうかは分かりませんが、数日空けてまた読み始めても、
前の情景を鮮明に覚えています。

文字からイメージする体験が以前よりも強烈になっている事を感じています。

そんな中で、Ken Follettの作品は外れが無いので、あたらしいPaperbackがでると、
迷わず買っています。 Hornet Flightは私の気持ちが変わったので、リラックスして、
癒しの言葉に接するような感覚で読めました。
それとも、このような読書を可能にする、作家が優れているのでしょう。

車が好き、エンジン音が好きなので、複葉機を修復して飛ばすストーリーを楽しみました。
ストーリーの最後は予想できるのですが、物語の展開を楽しむことが出来ました。
ちょうど、イギリスをドライブする時に、あらかじめ地図を調べてどのルートを通って行くのかは
決ておきます。ルートは知っていても実際に走ると、その楽しさは、全身で感じられます。毎回、
堪能してきます。Ken Folletにはストーリーの展開の意外性を期待して楽しんでいましたが、
今回はもっと別の、友人と趣味の話をしているような感覚で読みました。趣味は、車、エンジン、複葉機。
私もたくさん模型飛行機を作って飛ばしていました。

良くできたエンターティメントと言ってしまうこともできますが、読み方によっていろいろ
楽しめることを感じました。Quality of readingは作品の出来によりますが、それよりも
読んでいる自分の生活のQualityが読んでいる時間のQualityをいくらでも上げることが
出来そうだということも実感しました。

Jackdaws

* * * * * * *Copyright 2001  132,243語
おすすめ度★★★★★   2003/12/24読完

「このミステリーがすごい 2004年版」海外版の第18位に選ばれています。
邦題は「鴉よ闇へ翔べ」です。

この書評は「針の眼」の第二次大戦の冒険小説で世に出たがデビュー作をなかなか
越えられなかった作者が、デビュー当時の第二次大戦の秘話というスタイルに
立ち返った作者の試みは、みごと成功した。とあります。

物語:
第二次大戦でドイツ軍が劣勢に入りDデイ直前のフランスでの話し。
場所はパリの北西のReims、そこの村 Sainte-Cecileにあるシャトーにはドイツ軍の電話回線の
集中する電話交換設備のある重要通信拠点。連合軍の上陸作戦のときに
この電話交換設備を破壊してあれば、ドイツ軍の指令系統をかなり麻痺させることができる。

 フランスのあるレジスタンス・グループのリーダーMichelとその英国人妻Flick (Felicity Clairet)が主人公。
FlickはシャトーをMichel一派と襲撃するが、ドイツ軍に阻止されイギリスに帰国。
SOE (Special Operations Executive)に、女性だけの清掃員をよそおった襲撃チームを提案する。
一度は却下されるが、その案が見直される。人選の結果、ようやく集まった人数がたったの6人。
パラシュートでReimsに降下して作戦行動を開始する。この女性チームの一人一人をJackdawと
呼んでいるので、そのJackdawsがタイトルになっています。
Jackdawはカラスの一種で、小形で鳴き声がうるさいそうです。

ドイツ側の主人公は、Dieter Franck高官で、元警察、狡猾な尋問の設定。彼が執拗に
レジスタンス・グループを追いまわし、つぎつぎとMichelの仲間を捕らえてゆく。
FlickとDieterは何度もニアミスを繰り返しながら、最後にSainte-Cecileにて対峙します。

感想:
「このミステリーがすごい」の書評にあるように、かなり面白さが戻ってきました。
これは面白かったです。やはり大戦時代の冒険・スパイ物に妙に現実味があります。
現代物が作者にとって苦手なのか、私の読者としての、過去の作品の先入観のせいか、
現代物がいまいち手放しで楽しめませんでした。

この作品を読んでいると、昔同じようなストーリーの映画を見たような気が常にしました。
なんだったのか具体的には題名が浮かんできませんが。人を計略により陥れたり、
武器などを使って戦うシーンがとってもリアルなので、大戦中と設定しないと、
現代とそぐわないのかもしれませんね。

ストーリーは単純のようですが、読んでいてはらはらとさせられ、起伏にとんだ話が続きます。
やはり最後のシャトーの襲撃シーンが圧巻ですね。ただ、Flickの能力がDieterを上回った
というよりも、 Flickのほうが、ほとんどの場面において幸運だったような書き方に感じました。

英語は、イギリス系の作家のために、語彙が豊富ですこし難しいかもしれませんが、
私にとってはどの作品も好きで、ハズレのない作家です。


 

Code to Zero

* * * * * * *Copyright 2000
おすすめ度★★★★★  2001/8/26読む 99,037語

またもとの作風に戻った感があり、とっても嬉しく読みました。
実はKen Follettによって、Paperback読みが開眼したと言えるので個人的な感慨があります。
15年以上も 前に彼の作品を読みまくりました。当時はどの作品も主人公のキャラクターが
強烈で、ロジカルで、 Ken Follettの本は外れがありませんでした。
ところがThe Third TwinとかThe Hammer of Edenを読むと、そろそろ限界かな、
以前のように読むごとに、最後まで一気に読ま されてしまうパワーがなくなってきたようで
残念でした。

Code to Zeroはアメリカがはじめて人工衛星を打ち上げる3日間が題材です。
ロシアのスプートニクに すでに先を越されてしまっています。
1958年1月31日に打ち上げがあります。この3日前から ストーリーが始まります。
1月28日の早朝にワシントンのセントラル・ステーションのトイレで 二日酔いから
目がさめたLukeが主人公です。彼は記憶を失っています。

自分が誰なのか、何をしようとしていたのか。スパイである自分の能力に驚きながら
自分を再発見してゆくところは、私の大好きな小説であるロバート・ルドラムの
「ボーン・アイデンティ」に似ていますが、異なる展開でもっと楽しめました。

ストーリーは各章が時間で区切られて進んで ゆきます。トム・クランシーの手法に
似てますね。1月28日、 5 A.M., 6 A.M., 1941, 6.30 A.M., 7 A.M. 7.30 A.M.と言う具合なので、
はじめにページを ぱらぱらとめくるだけで、全体の構成が分かるようになっています。
最後の方に来ると、最終 ページを読みたくなりますが、じっとこらえて読んでください。

時々1941年が出てきます。 主人公と親友がハーバードの学生だった状況が描かれます。
Lukeと恋人。親友のAnthonyと恋人。 記憶を失う前と、失ったあとの再発見がたくみに描かれてゆきます。

イギリスで買ったので イギリス英語で書かれたPaperbackです。
Kenはロンドンに住んでいます。アメリカのベスト セラーのリストには載っていません。
これから出てくるのでしょうか。すでにアメリカで ベストセラーになって盛りを過ぎたのでしょうか。
私にとっては、Kenの作品のうちの 過去10年のベストです。 

 

The Hammer of Eden

* * * * * * *Copyright1998  141,000語
おすすめ度★★★★☆

The Third Twinから作風が変わったようです。気がついた特徴は、
1 現代のテーマをとりあげ、技術に多少のフィクションを加えた題材。
2 プレイン(易しい)・イングリッシュを使い、読みやすい。
3 スパイ物ではない。

 自分たちの住むところがダムに沈められてしまう計画があることを知ったエコ・テロリストのグループが
地震テロを起こすといって、カリフォルニア州を脅します。石油掘削用のバイブレーター・トラックを使って
実際に地震を発生させます。彼らのリーダーのPriestは学生のMelanieを使って企てる側です。
それを追うのは、FBIの女性エージェント Judy Maddox。面白いのですが、理解の私としては
地震の発生のロジックが?でした。

この"The Hammer of Eden"の10章にFBIの科学捜査官Simonが
テロのメンバーからの電話の話し方から、「アッパークラスの人間」であることをわりだす
所があります。チョット長いのですが、アメリカ人がRの発音 をどう捕らえているかがわかります。

 This time Simon played the first two sentences.
"This is the Hammer of Eden with a message for Governor Mike Robson.
Shit, I didn't expect to be talking to a tape recorder."
(2行目は留守番電話に気がついて言った独り言です。)

 He stopped the tape. "It's a Northern California accent, of course.
But did you notice anything else?"
 Bo said: "She's middle class.
 Judy frowned. "She sounded upper class to me."
 "You're both right," Simon said.
"Her accent changes between the first sentence and the second."
 "Is that unusual?" said Judy.

 "No. Most of us get our basic accent from the social group we grew up with,
then modify it later in life. Usually, people try to upgrade:
blue-collar people try to make themselves sound more affluent.
Occasionally it goes the other way: a politician from a patrician family
might make his accent more down-home, to seem like a man of the people,
yuh know what I'm sayin'?"

 "The learned accent is used in formal situations,"
Simon said as he rewound the tape.

 "It comes into play when the speaker is poised.
But we revert to our childhood speech patterns when we're under stress.
Okay so far?"

 Bo said:"Sure."

 "This woman has downgraded her speech.
She makes herself sound more blue-collar than she really is."

 Judy was fascinated.
"You think she's a kind of Patty Hearst figure?"

 "In that area, yes. She begins with a rehearsed formal sentence,
spoken in her average-person voice.
Now, in American speech, the more high class you are, the more you
pronounce the letter 'r.'
With that in mind, listen to the way she says the word ' governor' now."

 The woman on the tape said: "This is the Hammer of Eden
with a message for Governor Mike Robson."
 "Hear the way she says 'Guvnuh Mike'?
This is street talk. But listen to the next bit.
The voice mail announcement has put her off guard, and she speaks naturally.

  "Shit, I didn't expect to be talking to a tape recorder.

 "Although she says 'shit,' she pronounces the word ' recorder' very correctly.
A blue-collar type would say 'recawduh,' pronouncing only the first r.
The average college graduate says 'recorduh,' pronouncing the second r distinctly.
Only very superior people say 'recorder' the way she does,
carefully pronouncing all three r's.




The Third Twin

* * * * * * *Copyright 1996
おすすめ度 ★★★★☆

1990年代の作品に対しては、あれ!と思うほど、従来のKen Folletとは違う作風でとまどいました。

従来のスパイ物とはずいぶん違います。従来は主人公が、モスクワ、ロンドン、
アメリカなどの土地に潜んだスパイとなり、情報のかけひきにより、話しが展開するパターンが多かったのですが。

どちらかというと、シドニー・シェルダンのように突然読みやすくなり、plainイングリッシュで書かれています。

Twinという題名から、事件の裏には、別の犯人がいるらしいと推測しながら先を知りたくて、
どんどん読み進みました。Steveはレイプの犯人にされ、警察に追われながら、真犯人を追及するストーリーです。

 Jeannie Ferramiは才女で若いscientist。彼女は法律学科の学生 Steveと、殺人犯とされたDanが一卵性双生児のようだが、別の日と別の母親に生まれたことに疑念を持ちます。JeannieはSteveと恋に落ちますが、Steveにレイプの嫌疑がかかります。

 主人公のSteveは、双子の兄弟がいることを知り、自分のgenesにも凶悪性が隠れているのか不安になります。
Do my genes make me what I am? Or is it my upbringing and my environment? 

エンターティンメントとして楽しめるので、お勧めします。

A Place called Freedom

* * * * * * *Copyright 1995
おすすめ度 ★★★★★

これもスパイものではありません。雰囲気は、映画トムクルーズとニコールキッドマンの
「遥かなる大地」に似ています。(映画はこの本に基づいていると思えてなりません。)

映画は、1800年代後半にアイルランドからアメリカに渡り、苦労しながら、土地を手に入れる話です。
トムが小作人、ニコールが大地主の娘役でした。A Place Called Freedomとはやはりアメリカのことです。

主人公は、スコットランドのハイランドの炭坑で働く21歳のMack McAsh。
ヒロインは上流階級の娘Lizzie Hallimで、束縛から自由になりたいと願っています。

舞台はロンドンに移ります。LizzieはJay Jamissonと結婚します。
Mackは暴動を扇動した罪で、7年の奴隷の刑によりアメリカに流されます。

舞台はアメリカに移り、MackとLizzieは再会します。Ken Folletは歴史ものを書くのが
ますます巧みになってきました。「遥かなる大地」を見た後で読むと、読みやすいと思います。

舞台設定は似ていますが、ストーリーは異なります。



The Man from St. Petersburg

* * * * * * *Copyright 1982



The Key to Rebecca

* * * * * * *Copyright 1983
実話に基づいたストーリーです。物語の舞台は1942年のエジプトです。書かれた時が
1980年と古いのですが、今読んでも面白いです。
実在したNaziスパイのJohannes Epplerが 主役のAlex Wolff(コードネームSphinx)の
モデルになっています。砂漠のサバイバルを経てカイロにたどり着いたAlexはドイツ
のロンメルにカイロ攻略のカギとなる連合軍の情報を渡して勝利を確実にしようとします。
彼を阻止できるのは、イギリスの、William Vandamとyoung Jewish girl. Sphinxを追い
かけますがその都度、逃げられてしまいます


Triple

* * * * * * *Copyright 1979  116,044語
おすすめ度 ★★★★☆

『Eye of the Needle』『Triple』『The Key to Rebecca』の3つの作品で、Ken Follettはスパイ物語の
ベストセラー作家の地位を不動にしました。この3つともハズレがなかったので、Ken Follettの
作品は全部読もうと考えています。
『Triple』は200トンのウランを巡った物語です。書かれた時が1979年と古いのですが、
今読んでも面白いです。3人の主役は、イスラエルのヒーローNat、あだ名はThe Pirate。
RostovはKGB、エジプトの諜報部員は Yassif。星は5つ並みに面白いのですが、古さを
感じるので、★4つです


Eye of the Needle

* * * * * * *Copyright 1978
おすすめ度 ★★★★☆
 著者27歳の作品です。彼の出世作となります。第2次世界大戦時のイギリスを舞台にしたスパイ物語。
Henry Faber – "Die Nadel" = The Needle, German spy
David Rose – young R.A.F. fighter pilot
Lucy Rose – David Rose's wife
Billy Parkin – young Army soldier who identified Faber
Percival Godliman – MI5 agent
Frederick Bloggs – MI5 agent

ストーリー:

連合軍の情報操作をイギリスに住むドイツのスパイがドイツに知らせようとします。
それを阻止する物語。ずいぶん昔に映画化もされています。

 物語はロンドンから始まります。欧米の連合国は、ノルマンジー作戦の上陸場所を
フランスのカレーだとドイツ軍に信じるように工作(Operation Fortitude)します。
工作は、張りぼての戦車、建物、無線通信などを使い、偽の上陸部隊FUSAG
(First United States Army Group)を仕立てあげます。

 1940年、ロンドンにいたドイツ軍のスパイ Henry Faberは無線機でこの情報を
ドイツに送る途中で、アパートのオーナーの女性に見つかり刃物 (stiletto)で殺害します。
The Needleのタイトルはこの凶器からきています。その後の殺害にも使われます。

 MI5諜報部員のGodliman とBloggsは殺人調査を行い、Faberを追いかける役です。
FaberはスコットランドのAberdeenでU-Boatと待ち合わせて、写真とともに
この情報をドイツに持ち帰ろうとします。舞台は、北イングランドに移り、追いかけっこ
が続きます。
U-Boatとの待ち合わせに向けて小舟で海に出たFaberは、Storm Islandに漂着して
しまいます。そこで、David & Rose家のやっかいになります。
ハイライトは、Davidが殺された後の、LucyがFaberから身を守るための戦いです。

 Lucy RoseがFaberと戦う最後のシーンは、イギリス女は強しと感じさせます。