John Irving

 

* * * * * * *Copyright 1998
A Widow for One Year
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おすすめ度★★★★★

イギリスで2000年に3割引で買ってツンドク(積読)しておいたものをやっと読みました。最近 どこかで評価が高いことを読んだからです。

 結果は、大満足でした。中級者以上の方にお勧めします。2002年3月いっぱいかけて、ゆったりと 急ぐことなく贅沢に読みました。時間が無いので、毎日15分ぐらいずつ読んだことも、1ヶ月かかった 理由ですが。

 主人公は作家として成功する、Ruth Coleの人生が上手に書かれています。 読んでいる途中でEddie O'Hareにも感情移入してしまいました。

 ストーリーは1958年、1990年そして1995年の3部構成です。

 1958年にRuthは4歳の女の子、Eddieは16歳。Ruthの両親は大学生の息子2人を交通事故で失い、 母親のMarionは傷心の末、Ruthを残し、夫Tedの元を離れてゆく所までの話。

 1990年は、Ruthが成功した作家になっており、成功していない作家のEddieと30年強ぶりに再会 します。Ruthが新作の構想を練るためにアムステルダムに行ったときの出来事が中心。Ruthは未だ 独身で、Allanとの結婚に迷っています。

 1995年は、Ruthが夫Allanが無くなってから1年後。この時点のことがタイトルになっています。

 読んでいて、引き込まれるのは、人物描写の巧みさです。Ruth, Eddie, Ted, Marionともに作家になります。実生活をもとにして、Fictionでもいかに登場人物を あたかも実在するように描けるのか、4人(Ruth, Eddie, Ted, Marion)の力量が書かれていて興味がわきました。

 4歳のどちらかというとかわいそうなRuthがどのように成長するのか、Eddieは、Marionが どうなっているのか、それぞれの心の動きがどうなってゆくのか、まるで映画をみているように、 連続して描かれています。とてもよい映画を見たような気持ちが残りました。2-3日、彼らの様子が 心から離れなくなりました。

 

(補足) 作者のアービングは最初の妻との間に二人の息子(すごくハンサム)もうけたのですが、 十年ほど前に離婚して自分のエージェントだった女性と再婚しているんです。彼女との間に、新たに 息子も生まれて、今は私生活も充実しているようです。(お気楽ペーパーバック、栗原さんの記述です。)