John Grisham

2007/8/11→2012/12/7



The Litigators

* * * * * * * Copyright 2011   おすすめ度★★★★★  2012/12/7読了 P470 118,744語

久しぶりにJohn Grishamらしい法廷ものです。海外ドラマのハリーズ・ロー(キャシイ・ベイツ)も好みなので、この本は文句なく楽しめました。

ハーバードを出てから5年間つとめたシカゴの大企業のRogan Rothberg法律会社を突然切れて(snap)ヤメタ31歳の妻もちDavid Zincが、極小の法律事務所 Finley & Figgに転がり込んでから約1年がストーリーとなっています。早朝にRogan Rothbergの自分の席がある93階でエレベータをいったんおりたDavidはエレベーターにひき返し、会社を出てしまいます。行くあてもなくバーに入り、朝から飲み始めます。この場面のバーテンとのやりとりなどが笑えます。

Finley とFiggは交通事故や離婚訴訟を扱うLitigatorsです。夕方バーを出たDavidは家にも帰れず、Finley & Figgのところに転がり込みます。Davidも加えた3人のLitigatorsがタイトルになっているのですね。Figg(もとアル中)は、Varrick Labs製薬会社のKrayoxxという肥満防止薬が心臓疾患を起こす可能性があるという話に飛びつき、大物のTortのバックアップを受けてシカゴで訴訟を起こします。 (本の裏表紙のコメント)All Finley & Figg has to do is find a handful of Krayoxx users to join the suit. It almost seems too good to be true.... and it is.

Theodore Boone: Kid Lawyer

* * * * * * * Copyright 2010   おすすめ度★★★★☆  2012/10/16読了 P263 50,657語

感想

主人公は13歳のTheo。青少年向けのシリーズの1冊目です。
ペーパーバック入門用として、おすすめ度★★★★★です。大人がペーパーバック入門として子供向けの本を読んでも、内容が単純すぎるので物足りないのですが、この本は、ストーリーが面白く、特に最後の1/3は一気に読まされます。
法廷の仕組みが分かりやすく説明されていて、ストーリーを読むにつれて米国の法廷の用語と仕組みが理解できます。a mistrialという語彙も最後に良く理解できました。
 海外ドラマのLAW&ORDERが大変好きですが、このドラマを見る前に読んで、法廷に馴染んでおくのも良いかと思われます。

大人が読んでも面白かったです。英語ができる人によっては、少し単純で物足りないと感じられるかもしれません。 

Theodore Boone シリーズは現時点で3冊発売されています。
オフィシャルサイトのURLです。
http://www.theodoreboone.com/


Playing for Pizza

* * * * * * * Copyright 2007

おすすめ度★★★★★  2009/2/28読了

感想

 

Skipping Christmasで、大衆娯楽読み物も書く作家として認識していたので、この作品も、娯楽として気楽にとりくみました。しばらく、ペーパーバックに遠ざかっていたために、スピードに乗って読む感覚を取り戻すためです。そのとおりに気楽に読み終えることが出来ました。ペーパーバックの入門としても使えるのでは?と思いました。ただし、アメリカンフットボールの話なので、フットボールの試合になじみがないと英文がやさしくても、話に入ってこれないのかもしれないと、少し心配ですが・・・。

個人的には、私もイタリア国内を小型のマニュアル車(ルノー5)で走り回ったので、情景を思い出しながら、読書を楽しみました。

安心して楽しめるので、おすすめします。あくまでも軽い読み物なので、法廷もののような期待をして読んではいけません。


物語

主人公は、独身男性のアメリカンフットボール、QuarterbackのRick Dockery、Cleveland BrownsチームのNo.3のQuarterbackです。AFC Championshipの試合で出場の機会を与えられます。それまで、17 pointsもリードしていたチームがRickのへまなパスのために、逆転されて負けてしまいます。 Rickはせっかくの出場のチャンスで試合をめちゃめちゃにして、全国レベルの笑いものにされます。

Brownsを首になり、他のどのチームも雇ってはくれません。フットボール以外に特技が無いRickが行き着いたのは、なんとイタリアのParmaにあるPanthersチーム。Parma Panthersは誰でも元NFLプレーヤーを欲しがっていました。

以上の設定で、RickがイタリアでPantersチームで試合をする物語です。イタリア人の気質、ワイン、食事、小型のマニュアル車、それらに出くわし、経験し、チームに受け入れられていく様子をエンターティンメントとして楽しむことが出来ます。そしてイタリア版のSuper Bowlまで、Panthersチームは進みます。誰もそこまでいくとは思っていなかった弱小チームでしたが・・・。

 



Skipping Christmas

* * * * * * * Copyright 2001

おすすめ度★★★★★  2004/12/27読了

物語

 

主人公は、Lutherと妻のNora、Krank家です。一人娘のBlairがボランティア(Peace Corps)で1年間Peruに出かけるのを空港で見送るシーンからはじまります。もうすぐクリスマスですが、 Krank家では、娘のいないクリスマスなどさびしいし、いっそのことCaribbean cruiseに出かけることに決めます。出発は航空券が安くなる12/25日。クリスマスの行事もやめることにします。それからがたいへんです。いつもやっているクリスマスの行事をどうやってパスするかが多少コミカルにえがかれます。Officeでのパーティに参加しない口実をどうするか。

毎年、ボーイ・スカウトをつれて業者がトラックにツリーを乗せて一軒一軒配達に回ってきます。 Krank家の前にも止まり、少年がもみの木をおろし始めます。今年はいらないといっても、不思議な顔をされます。説明が大変。警察官が2人毎年やってきて、チャリティをかねてカレンダーを売りに来ます。同様に、消防署からは、ケーキを持って訪問に来ます。ケーキも義務的にいくつか買っているようです。赤い羽根のケーキ版でしょうか。

そのうちに、Hemlock Streetの家々が、クリスマスツリーの飾りつけと、電球による、家の外のライトアップをはじめます。 Paperbackの表紙には家が3軒並んでいます。Krank家が真ん中で、両側の家はライトアップされていて、 Krank家は真っ暗です。屋根には、rooftop Frostyと言うようですが、左の家にはおおきな雪だるまが、右の家にはとなかいとソリが乗っていて、電球で飾り付けられています。通りごとに採点されて、コンテストがあり、Hemlock通りは、 Krank家が飾り付けをしなかったせいで、昨年の2位から6位に転落します。隣近所中から非難されてしまいます。

話は大きく展開します。クリスマスイヴの昼前に、娘のBlairから突然電話が入り、現地で見つけた婚約者を連れて家に向かっているところだというNewsが入ります。それからが大変。売れ残りのクリスマスツリーはかたちは悪いし、家に持ってくる途中で葉がみんな落ちてしまいます。七面鳥を買いに行っても全部売り切れ。毎年Partyに集まってくる友人も、Party無しと断っていたため、娘が希望しているにぎやかなPartyには誰も来れないと言うし。屋根にrooftop Frostyを乗せようとすると、雪と氷で滑ってしまうし。さんざんです。

でも安心して読んでください。最後には、ハッピーエンドが待っています。

感想:

本屋で見かけて買いました。出版は2001年のようですが、
「CHRISTMAS with the KRANKS」というタイトルで2004年に映画化されたので、店頭に並べられたのだと思います。

売れている作家は、時々クリスマスのシーズンに、軽い娯楽のための作品を書くことがあります。この本もそういった種類のものだと思います。どうなっちゃうのと思いながら、日常ありそうな出来事の積み重ねでも、思わぬ展開を見せます。前半はあまりにもエスカレートしたクリスマスの風刺として楽しく読めました。Krank家の試算によると、クリスマスのための出費は$6100だそうです。多少の誇張があるのでしょうが、実に70万円近くを毎年使っているのです。

あるアメリカ人の批評では、多くの人がクリスマスの無駄を快く思っていないようです。世界では飢えた人々がいるのですからね。この本はシンプルなクリスマスの過ごし方のヒントになると書いています。しかし同時に、クリスマス・スピリットはなくしてはいけないと言っています。

Frostyに関しては、この本で使われている意味は、辞書に出ていないので、インターネットでrooftop Frostyを調べると、このGrishamの本と映画の紹介が沢山出てきました。関心は高いようです。

結局最後はハッピー・エンディングになり気持ちよく読み終えることが出来ます。こういう筋書きのうまさは、やはりねーと思います。

 

* * * * * * * Copyright 2003

Bleachers

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おすすめ度★★★★★  2004/9/25読了
物語:
Bleachersとは「(屋外競技場)の屋根の無い観覧席、野外席」のことです。私の購入した Paperbackの表紙にはこの野外席(アメリカン・フットボール)が夕焼けの夕闇を背景に一つの大きな点灯している照明塔が描かれています。この情景がこの作品のメインテーマです。

本の構成は、Tuesday、Wednesday、ThursdayそしてFridayの4日間になっています。

Tuesdayに主人公の Neely CrenshawがMessina(それほど大きくはない町)を15年ぶりに訪れます。まず車で行ったのはRake Fieldです。Neelyは1987年のMessina高校の花形quarterbackでした。彼の同僚もRake Fieldに集まってきています。Rake FieldはMessina高校をall-Americanのチャンピオンに何回も導いた鬼コーチEddie Rakeの名前をつけたアメリカン・フットボールの試合場です。

Eddieが危篤になり、一両日の命であることを聞き、昔のフットボールの選手が集まってきていたのです。 Bleachers(野外席)の照明塔はEddieが生きているあいだ点灯されています。

Wednesdayに再び旧友が集まった時に、誰かが1987年のフットボールの試合の実況中継のTapeを見つけて、持ってきます。この実況中継がイタリック対の文字で書かれていますが、作者の表現力が遺憾なく発揮されていて、本当にあった試合の臨場感で伝わってきます。

EddieはWednesdayに亡くなり、FridayにRake Fieldで盛大に葬儀が行われます。

感想:
読んでいて、とても不思議な感じがする作品でした。まるで、自分がひさしぶりに高校の同窓会に戻ったように感じさせられました。あまり過去を語りたがらない花形quarterbackだったNeelyの過去がだんだんと明らかになってゆくストーリー展開のなかに、読む者になつかしい感じを与える表現力がすごいと思います。

Eddieの葬儀にはNeelyも請われてスピーチを行います。EddieはMessina校を何度もオール・アメリカンの優勝に導いたために、町のヒーローですが、その厳しさから、多くの選手に嫌われています。もと選手たちはそれぞれがEddieを愛しているのか、嫌っているのか考えさせられます。 Neelyは最後に何を言うのでしょうか。

文字数が少ないので、とても読みやすい本なので、Paperbackが初心の人にも勧められると思います。

 

The Summons

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おすすめ度★★★★★
* * * * * * * Copyright 2002

物語:
Summons(名詞は語尾にSが付きます。)とは「裁判所への出頭命令書」のことです。

主人公の Ray Atleeは妻のVickiが金持ちの男性のもとに去ったため30代なかばの独身。 RayはVirginia州で法律を教えている先生です。ForrestはRayの弟ですが、厄介者です。アルコール中毒で、リハビリセンターに入ったり出たりを繰り返しています。父 Reuben V. Atleeは立派なJudgeです。父のあとを継がずに2人の子供たちは故郷のClanton (Mississippi州)とは別の町に住んでいます。

RayとForrestはある日父から呼び出されます。その手紙がSummonsという題名になっています。父はJudgeを引退し、病気がちで一人で家にこもっています。その家は古くなっていますが、Maple Runと呼ばれている邸宅です。

Rayが弟よりも先にMaple Runに着き、居間で父が椅子に座ったまま亡くなっているのを発見します。死後数時間しかたっていない状態です。家を見回ると、本棚の下に、いくつかのダンボールに入った札束を見つけます。

父はなんで子供たちを呼び集めたのか。この3億円強の現金はどういう素性のものなのか。というなぞが提示され、物語が進んで行きます。

 

感想:
本を読む順序は、The Summonsを読んでからThe King of Tortsを読むべきだと思いました。二つの物語は、別のものですが、意識的につながっていると思います。The Summonsは$3Mを思わず手に入れる話ですが、後半になってその送り主である、 The King of Tortsがちらっと出てきます。The King of Tortsは、今度は自分が偶然The King of Tortsになってしまう話です。

3億円強の現金をいったい、どうやって父は手に入れたのか?遺書に書いていないこの金を使っていいものかどうか?お金を自分の車AUDI TTのトランクに入れて、その出所をさぐる旅。モーテルでは、車が見える部屋に泊まったり。 Casinoでこのお金を使ってギャンブルをし、偽札ではないことを確認したり。きっと、やばい裏金なのだろうけど。誰かに付けまわされている予感。

Rayは自分の年収14万ドルに満足しているので、「この$3Mを生命の危険を冒してでも、手に入れないと。」とは思っていない設定もストーリーを面白くしています。独り占めしようと思って行動していたことを後になって少し反省しますが。

若干臆病な主人公Rayに感情移入できれば作者の流れに沿って、この物語を楽しむことができましたが。娯楽作品としてとってもお勧めですが、冒頭に書いたように、The King of Tortsよりは先に読むべきです。

 

 


 

The King of Torts

* * * * * * *
おすすめ度★★★★★
* * * * * * * Copyright 2003
物語:
この場合のTortとは、大企業を相手に、訴訟を起こし大量の和解金を勝ち取る弁護士のことです。

主人公の Clay Carterは大学出の31歳。 Washington D.C.で、給料の多くない、Public Defenderをしています。同級生と比べてもさえない境遇で、お金持ちのガールフレンド  Rebeccaにも逃げられてしまいます。

そんな彼がしぶしぶ引き受けた次の殺人事件の弁護では、犯人が犯行を認めているにも かかわらず、動機がまったくありません。同様の動機がない殺人事件が別の犯人により行われて いました。調べているうちに、大きな薬会社の火消し役をしている Max Paceから和解のとりまとめを依頼されます。殺された家族から和解をとりつけたら報酬が $15Mだと言うのです(法律事務所の立ち上げ、TVコマーシャル等の経費込み)。原因は麻薬の治療薬の副作用で、患者がいきなり殺人を犯す可能性があるという設定です。ClayはPublic Defenderをやめ、自分の法律事務所をもち、Maxのアドバイスを受けながら和解の工作を行います。

Tortとしてのはじめの仕事が成功すると、さらに大きな仕事をMaxから依頼されます。 ClayはTortsの集まるセミナーがあることをMaxから知り、そこで知り合ったThe King of TortsのPatton Frenchと組んでこの仕事も成功させます。その報酬はなんと$100Mです。その次の仕事は、 Maxと組んで行う、大企業相手の大仕事です。

感想:
さえない弁護士から、突然億万長者になった若い弁護士の出世物語です。さえない弁護士の暮らしから、自家用Jet機を所有する弁護士になる変化が、こういうこともありそうだと思わせるタッチで書かれています。身に着けているもの、車、住宅などが一気に金持ち階級のものに変わっていきます。成功物語を読むのは気持ちのよいものですが、作者はお金を求めるよりも、心の豊かな人物を前の作品で描こうとしていたハズなので、何が言いたいのか読んでいてとまどいました。

前半は大成功物語ですが、後半になって薬の訴訟で和解した被害者にさらに副作用が出てきて、逆に訴えられて、破綻に向かうところが描かれてきます。最後には、Rebeccaを取り戻し、友人にささえられてお金ではない人生の宝を手に入れます。

あれよあれよと話が進んでいっきに読まされました。一流のエンターティンメントになっています。とってもおすすめです。

 


 

A Painted House

* * * * * * *
おすすめ度★★★★★
* * * * * * *Copyright 2001
イギリスの書評に「Hemingwayのようだ。」と書かれたこの本は、1952年の
Arkansasの綿農園の 生活を、7歳の自分の目を通して再現してくれます。
映画を見ているというよりも、自分が そこに生活しているような気持ちにさせられる、不思議な本です。

Grishamはこの作品で 完全に、裁判物、法廷物から決別しています。
どのような心境でこの作品を書いたのか、 大変に興味があります。

物語は、僕が7歳だった時の綿作り農家の半年の出来事です。
ストーリーは「お気楽ペーパーバック」を参照してください。

http://www2m.biglobe.ne.jp/~okiraku-/hmpage70-388.htm

両親、祖父母、 綿積みのために雇った、ヒルビリー一家、スパニッシュの人々などが
生き生きと描かれて います。貧しい生活、きびしい労働、助け合って生きる人々。
ストーリーは上のHPの とおりで単純です。法廷のどんでん返しとか、
展開の速いしゃれた筋書きなどはでて きません。

2002年の現代人の生活を知っている我々が読むと、この時代の人々の 苦労を
読みながら、そのうちに良くなるよと応援したくなります。また満ち足りている
我々が忘れていた事に気づかせてくれます。

Grishamは説教じみた事はいっさい言って いません。そのことがかえって、
読者に自分を見つめさせる事になっているのだと思います。 そこが、人々に
受け入れられベストセラーになった要因だと思われます。

イギリス人に「現代の古典」と言わしめたこの物語をぜひ読んでください。

 

The Brethren

* * * * * * *
おすすめ度★★★★★
* * * * * * *Copyright 2000

落ちぶれた3人のもとJudge(判事)が主人公です。落ちぶれたというのは、3人とも刑務所に いるからです。この3人がGayの雑誌にペンパルの広告を出し、文通相手をゆすることを アルバイトにしています。「裏家業」というタイトルもこのことから来ています。 たまたま大統領選の有力候補Aaron LakeのLetterが混じっていたことによ、話が発展してゆきます。

この3人のBrethrenが 主人公なので、かっこいいストーリーを期待すると裏切られます。本当の悪玉はLakeを かつぎあげている、Teddy Maynardでしょう。Teddyは軍事界を牛耳りLakeを大統領にした後は、軍事費を倍増しようと たくらんでいます。

TeddyはBrethrenと外部とのLettersを見つけ、Lakeの失脚を防ぐと 共に、Lakeに恩を与えることにも成功する。この大きな策略の中で、3人のBreathrenは大金を 手にするとともに、刑務所からも出ることに成功する。

60歳を超えた3人の描写がほほえましく感じましたが、皆さんはいかがでしょうか。John Grishamは正義が勝つというストーリーではないこの物語から、大きな権力と小さな裏家業を対比させて何がいいたかったのでしょうか。面白いけれど、どう考えればいいのかなー? というのが読後感です。



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The Rainmaker

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おすすめ度 ★★★★☆ 157,000語

Rainmakerとは魔術などで雨を降らそうとする人のことですが、稼ぎの良いやり手の弁護士の意味があります。マット・デイモンの映画が良かったですね。 主人公のRudy BaylorはMemphis State Law Schoolを卒業して、Memphis law firmに就職が内定しますが、企業買収により職を失います。しかたなくはじめた低賃金でpart timeの弁護士の仕事がストーリーの中核です。医療保険を払おうとしない保険会社 Great Benefit Life Insuranceとの裁判で$50.2 millionの勝訴を得ますが、Great Benefitが破産申告をして、支払いを逃れようとします。・・・最終的には法律社会に愛想を尽かして教師の道を選びます。Grisham のあらたな人生観の反映なのでしょうか?
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The Pelican Brief

おすすめ度 ★★★★☆ 110,782語
 ジュリアロバーツが学生ダービー、デンゼル・ワシントンが新聞記者を演じた映画も
面白かった。
ダービー彼女が書いた最高裁判事の殺害事件についての論文が「Pelican Brief」と
呼ばれ、その殺人事件とあまりにも類似しているので、教授からFBIにわたって行くうちに
利権者の目に触れ、ダービーと内容を知ったものが殺害のターゲットとなる。
 ペリカン保護区(ブラウンペリカンはルイジアナ州の州鳥)の利権に絡む企業に
行きつく。政府、FBI、CIAとの絡みあいがうまいと思う。
 学生ががんばるストーリーは好きです。

* * * * * * *

The Client

* * * * * * *
おすすめ度 ★★★★★
11歳のマーク・スウェイがある人物の自殺を目撃したことから、事件に巻き込まれます。自殺する本人から、有名な上院議員の死体の隠し場所を聞いてしまいます。マフィア犯人側に追い詰められたあげくに弁護士Msレジー・ラブに1ドルで 弁護をたのみ、事件がどんどん進展します。

金銭的には恵まれない、一市民としての母親のマークを思う心理の描写。レジ―が大胆にFBI 捜査官と交渉して要求を通すガッツさがさわやかにえがかれています。レジ―の行動の原点が、なにがマーク家族にとってベストなのかにプライオリティをおいて、行動するところが、「私も何事においても、このように行動できたら。」という思いにさせてくれます。

グリシャムの本の中では、大好きでもう一度読みたい本です。読んだ後で、ほのぼのとした気持ちにさせてくれました。
スーザンサランドン、トミー・リー・ジョーズの映画もよかったですね。

* * * * * * *Copyright1998

The Street Lawyer


* * * * * * *
おすすめ度★★★★★
Grishamの今までの法廷物は、アメリカの裁判の様子がよくわかる、優れた教材であり、その後の 私の読書において、裁判所のシーンの理解をおおいに助けてくれています。ただし、現実離れした 金額が争われて、一攫千金的なイメージのところがどうも気になっていました。

このStreet Lawyerは、人生は「お金を得たから成功」とする考えから、お金と地位が得られ なくても、自分の納得する生き方を思いきって生きる方向にかじとりがされた点が、とても気に 入ってます。

もう一度読みたい本です。John Grishamが今後、どの方向に進むか、楽しみです。

 

* * * * * * *Copyright1999

The Testament


* * * * * * *
おすすめ度★★★★★
$11 billionsという、天文学的な遺産が残されました。死の直前に、遺言(The Testament)が 破棄され、手書きの遺言が書かれ、6人の子供に行くべき遺産が、ブラジルの奥地で伝道に 従事しているRachel Laneに全額が残されます。彼女は、お金の受け取りを拒否します。 むかしやり手だった主人公の弁護士NateO'Rileyが、アル中となりリハビリ・センターから 登場し、説得されてブラジルの奥地に行きます。John Grishamの舞台が国際化されました。

読者は、文明の世界から、ネイチャー・ウオッチングの世界にスムーズに連れていかれます。 ブラジルの時間がゆったりとすぎてゆく世界、お金があまり意味をなさない世界が魅力的に えがかれ、主人公の帰国後の人生観を変えさせます。

21世紀の生き方として、弁護士をやめて、なんの不自由も無く執筆しているJohn Grishamが 訴えようとしている方向です。シンプルに生きようよ、あなたにとってのほんとうの幸せは こっちですよ、という作風が 続くのか、次が楽しみです。

特におすすめしたい1冊です。

* * * * * * * * * *

John Grishamの最近作、The Testamentを99年11月12日に読み終えました。

「読んでよかった。」が読後感です。人間っていいなー、という感動をもとめて、読書して いると思います。こういう本にぶち当たると、「読めて良かった。」としみじみ思います。  John Grishamの作品で、このように感じた最も私の好きな作品が3冊あります。

The Client

The Street Lawyer

The Testament

どれも、ほのぼのとして、心温まる作品です。
読後がさわやかで、人生に希望を持たせてくれます。


A Time to Kill

* * * * * * *
おすすめ度★★★★☆
154241語 * * * * * * *Copyright199x

邦題は『評決のとき』
映画化された物語。内容は、:黒人の娘をレイプした白人を大勢の前で銃で殺した父親カール・リー・ヘイリー Carl Lee(映画ではサミュエル・ジャクソン)の弁護をジェイクJake・ブリガンス(マシュー・マコノーフュー)がすることになる。人種問題が扱われ、白人に嫌がらせを受けながら、弁護を続けるのだが・・・家を放火され、妻とけんかして散々な事件に中で、どちらかというと黒人に甘い評決、黒人に対する偏見に対抗したい人におススメします。


The firm


* * * * * * *
おすすめ度★★★★☆
* * * * * * *Copyright199x
135293語

映画よりも先に読んで、グリシャムの作風に触れました。法廷・弁護士の面白い世界に導いてくれた作家です。
その後、アメリカのTVドラマのLaw & ORDERを知ることになり、アメリカの裁判の世界にはまってしまいました。

ストーリー:
 新人弁護士が破格の待遇で法律事務所に雇われて仕事をはじめます。そこでは過去に何人も 不審な死があったこと、やがてその真相を知った彼はマフィアだけでなく、FBIからも追われる ことになります。富を得ることを追及する主人公が陥るありえない状況の中で、 結果的に彼のとる頭のよい行動に読んでいてひきつけられます。ちょっと成金主義が目についた。