Jeffrey Archerは元イギリス上院議員という経歴のベストセラー作家です。作品の情報源は、 この経歴により豊富なので、とくにスパイ作品がリアルです。
15のとってもよく出来た、面白い短編集です。
作者はイギリス人なので、イギリスの観点、舞台が中心です。イギリスが嫌いでなければ、
お勧めします。全部読むと、それぞれが長編にしてもおかしくないストーリーの骨格を
持っていることに気づきます。だからタイトルが「To Cut a Long Story Short」になった
のですね。著者の自信の現れでしょうか。
最初の「Death Speaks」はたった1ページの短編ストーリーですが、とてもインパクトの
あるものです。これはJeffreyのオリジナルではなく、聞いた話だそうです。
残りの14話のうちの10話は、実際にJeffreyの経験に基づくストーリーだそうです。
私のお気に入りは、「Love at First Sight」です。たったの5ページの短編ですが、
これもインパクトがありました。
短編集ですが、著者がストーリーを工夫しているので、英語の中級以上の方にお勧めします。
じっくりと味わうためにも、英文から直接(日本語の解釈を経ずに)、情景をイメージできる
必要があるからです。
表紙に「Probably the greatest storyteller of our age 」(Mail on Sunday誌の評価)
とあります。巨匠作家のすばらしい出来ですが、味わうためには、人生経験&英語の力が必要と
感じました。年齢と言う意味ではありません。鑑賞できている私は幸せだとも感じました
モーゼの十戒に対して、タイトルにもなった追加された一つの戒律は
Thou shalt not be
caughtです。
Conner FitzgeraldはCIAのトップ・エージェントです。Russianの極右翼の新大統領の暗殺命令が大統領からFitzgeraldに下されます。
(大統領の声の合成音声を使った、
上司Ms.
Helen Dexter, Director of the CIA
からの裏切りの指令です。)政治的な陰謀の中で、ガッツに任務を遂行して行く主人公の動きがリアルに描かれています。
Jeffrey Archerの作品も、シンプル・イングリッシュの流れに乗って、新しいものほど 読みやすくなっています。 ハードボイルドというよりも、主人公が人当たりの良さを生かして、課題を解決して行く ところが楽しいストーリーになっています。 主人公が家族思いで、人間味がある描き方がされているのが好きです。
最後に、片腕を無くしますが、家族との新しい生活に入る、ハッピーエンドが待っています。 おすすめです。 (2000/2/11)