JEFFERY DEAVER

2005/5/2

Jeffery Deaverの書く主人公Lincholn Rhymeは安楽椅子系の探偵であり、同時に現場に出かける科学者系 探偵でもあります。Rhymeは四肢麻痺なので、助手でGirl FriendのAmeria Sachsが現場に出かけて動き回ります。一度に2倍楽しめる、貴重な作家です。

安楽椅子系の探偵は、現場に行かずに安楽椅子に座ったまま、依頼人の話を聞いて、事件を解決するタイプです。

科学者系探偵は現場に残された物的証拠などから犯人を追いかけるタイプです。パトリシア・ コーンウェルの「検死官」シリーズが代表です。

THE EMPTY CHAIR

* * * * * * *Copyright 2000
おすすめ度★★★★★
「リンカーン・ライム&アメリア・サックス」シリーズの3作目です。

今回の舞台はノース・カロライナ。 Rhymeは四肢麻痺の身体が少しでも動くようになればとの望みから、まだテストの段階にある手術を受けるため、 サックスとともにやって来た。そこでは16歳の少年Garrett Hanlonによる同世代の少女Mary Beth誘拐事件が発生 しており、被害者救出のために、ライムに犯人探しの依頼が来る。手術は明後日なので、1日の約束でしぶしぶ 事件を引き受け、いなか町の警察署に出かけるという設定。

この本には、はじめに地図がついているので、ストーリーを追いかけるのがとても楽でした。ストーリーが すすむにつれて、なんどもこの地図を参照する必要があります。GarrettはMary Bethをどこに監禁したのか、 はやく助け出さないと乾き、疲労で助からなくなるかもしれない、とはらはらさせられながらストーリーが進みます。 このストーリーは単なる誘拐事件だけではなく、裏に大きな企業犯罪が平行して進んでいます。ここは楽しみを こわさないために、書きませんが。

The Empty Chairはなんだろうなー、と思っていたら、ストーリーのなかほどでGarrettが捕まったところで、 Garrettの潜在意識に隠れている真実を引き出そうと、精神鑑定のために使われた手法です。Garrettの前に空の いすをおき、あたかも人が居るように想像させて、語りかける手法が出てきます。

この舞台は、湿地帯で運河、細い水路、藪、などが出てくるいなかです。時期は暑い夏。物語は運河のそばの 殺人現場に看護婦のLydia Johanssonが花束をささげに来るところから始まります。そのLydiaも誘拐されて しまいます。犯人は、Insect Boyというあだ名のGarrett。

Garrettは虫に興味があるInsectオタクです。ストーリーでは、虫の生態など虫も重要な役割を演じています。 ストーリは2重3重の構成になっていて、展開も何度もあるので、マンネリにならずに最後まで楽しめます。 その点で絶対にお薦めです。最後までだまされ、ストーリーを堪能したら、また始めの1章を必ず読みましょう。 作品は最後の結末とストーリーの始めがつながっています。2転3転、そして結末を決めてから、最初を 書いたと思われます。

 

THE BLUE NOWHERE

* * * * * * * Copyright 2001
おすすめ度 ★★★★★

Blue NowhereとはPCの向こう側にあるインターネットの大海のことです。この作品は「リンカーン・ライム& アメリア・サックス」シリーズとは全く別のものです。ネットワーク犯罪がテーマです。ITのセキュリティーに 関連した仕事や勉強をしている方に特にお勧めです。

登場人物は、悪役はPhateという仮名の天才computer hackerで殺人者。捜査側は殺人課の Frank Bishop。Frankを手助けし、コンピューターを駆使してPhateを追いかける役がWyatt Gillette。Wyattはコンピューター犯罪で服役中のところをこの事件解決のために借り出された、もう一方の天才ハッカー。

Phateが他人のコンピューター、政府のコンピューターに侵入し、データ-を盗み出す目的が、コンピューターGameのMUD gameを現実の世界で実際の殺人を行いポイントを上げてゆくためという、奇抜な設定。最後にはらはらさせられる 場面があり、映画化にも適しているストーリー展開がある。おしまいはWyattのハッピーエンド。

章番号がバイナリ-で、00011011 / Twenty Sevenというふうに凝っています。インターネットを使ったことのない人には、少しイメージがつかみにくい かもしれませんが、インターネットのセキュリティーのイメージがつかめます。現実に出来る事と、フィクションが うまく混ぜてあります。

 

 

THE COFFIN DANCER

* * * * * * * Copyright 1998
おすすめ度 ★★★★★
「リンカーン・ライム&アメリア・サックス」シリーズの2作目です。

Coffin DancerとはLincholn Rhymeが助手の美人で拳銃の名手のAmeria Sachs(サックス)とともに追いかけるプロの殺人犯です。犯人の特徴として知られているのは、「棺おけの前でダンスを している女」の刺青が腕にあるという手がかりです。このために犯人はCoffin Dancerと呼ばれています。

Coffin Dancerが雇われたのは、月曜日に証言を求められている、目撃者3人。このうちの2人はEd Carney, Percey Clay夫妻です。2人ともパイロットであり、小さな飛行機会社のオーナーです。Edは飛行中にしかけ られた爆弾により殺害されます。

肢体不自由なために寝たきりのLincholnが現場に残された、微小な手がかりから犯人を追いかけます。

圧巻は、Perceyが会社を救うため、契約を取り付けるために、自ら操縦したリアー・ジェット機に爆弾が仕掛け られていることをLincholnが推測した後です。映画化すると大きな見せ場になるような操縦が展開されます。

物語は、5章から Hour 1 of 45という章のタイトルが始まり、からHour 44 of 45まで、月曜日の証言時間までカウントダウンしてゆく章立てで、分かりやすくなっています。

ボーン・コレクターより数段面白いという評価のようです。確かに、こちらのほうが面白いと思います。 ただし、Rhymeの捜査方法を理解するために、やはりThe Bone Collectorから読むことをお薦めします。

 

THE BONE COLLECTOR

* * * * * * Copyright 1997
おすすめ度 ★★★★★
1999年度のこのミステリーがすごいの年間第2位の作品です。
(第一位はStephen HunterのPoint of Impact)
ちょっと難しい単語がたくさん出てきますが、文句無くお勧めいたします。

Lincholn Rhymeはアクシデントで肢体不自由になった超一流の犯罪学者。Lincholnは若い女性警官の大胆さを 見込み、犯罪現場から犯人の手がかりをつかむ教育をしながら、Bone Collectorから被害者を救出します。

舞台はマンハッタン。犯人は、被害者をつかまえては、数時間語に殺害します。現場には、次の犯行を予言する 微妙なヒントを残します。このヒントから次の被害者が息を引き取る前に、場所を特定し救出する捜査が続きます。

殺人現場に残る犯人の手がかりを、虫眼鏡で探すように、微小なものから、場所を特定して行く様子が、非常に リアルに書かれています。科学的な用語、捜査上の用語など、難しい単語がたくさん出てくるので、 中級者より上だと思われる方にリコメンドします。

本屋の宣伝では、「羊たちの沈黙」以上と言っていますが、この本の内容を的確に表現していると思います。

最後に意外な結末が待っています。