Fiona Walker

2006/4/11

Lots of Love

Copyright: 2003
おすすめ度★★★★★

とっても面白く読めました。一言でいうとノラ・ロバーツ (Nora Roberts)の英国版のようだなーと感じました。KSPの本屋で安売りをしていて、読みやすそうなので買いました。

ストーリー:

軽快なラブ・ストーリーです。主人公は、Ellenという女性。相手役の男性はSpurs Belling
というセクシーな男性。場所はイギリスCotswoldのOddlodeという村です。
Spursは昔さんざん悪いことをして村を出て行ったと村人から警告を受けますがEllenはSpursを見たときから一目ぼれ状態になってしまいます。

 Ellenは学生の頃から13年間付き合った恋人Richardがいますが、なんとなく疎遠になっていて、ついにはメイルのやりとりで別れることにします。

 Ellenの両親が所有するCotswoldにあるOddlode cottageはEllenの両親が売りに出しています。EllenはこのCottageが売れるまでの管理を頼まれてそこに住み始めました。その庭は荒れ放題で草ボウボウ状態です。

オークションでEllenはSpursに会い、EllenはSpursに3つの願いをかなえるという券を成り行きで買わされてしまいます。願いを言えと迫られたので、まさかと思って言った「庭の手入れ」をSpursは受け入れます。そして2日間2人で一生懸命に庭の手入れをします。場面は設定されましたね。

いろいろな出来事があるので、とても楽しめます。そして最後はハッピーエンドなので、安心して読んでください。

以下はWEBサイトにある物語の紹介です。
Spurs Belling had the X factor. In all her years travelling with dangerous
sports fanatics, most especially surfers, Ellen had only met half a dozen
who truly had it. And Richard, who had so wanted it, had never really
possessed one cell of X. Spurs Belling was pure, unadulterated X.
It made him very, very dangerous. And as far as Ellen was concerned,
somebody to be avoided at all costs.
When she successfully bids for ‘Three Wishes’ at a charity auction,
Ellen’s only wish is that she hadn’t wasted her twenties on a safe
relationship and dangerous sports. She and Richard, her ex, had spent
a decade working through the winter months to finance their passion
for surfing every summer.

This summer is different. After thirteen years, all passion is spent
and they’ve called it a day. With her life in suitcases and boxes,
Ellen agrees to help her parents sell their unoccupied Cotswold cottage
? then she plans to travel the world. Little does she know that idyllic
Oddlode contains the world’s sexiest hell-raiser, and she finds herself
traveling uncharted waters to unknown territory ? headlong into love.

Ellen must be careful what she wishes for. As sports go, they don’t
get much more dangerous than falling for the wrong man. . .

http://www.madaboutbooks.com/fionaWalker/lotsOfLove.htm



感想:

抜群に会話の文章が上手な女性作家だと思います。もちろん会話はBritish Englishで心理描写もブリテッシュです。このためにイギリス人の心の動きになれていない人がこれを読んだ反応は、私の感想とは異なる可能性があります。

 私個人としては舞台となったイギリスCotswoldに2年間住んでいたので、イギリスが大好きです。物語の舞台もCotswoldなのでとても親しみをもって読みました。

 イギリスには階級・CLASSの別が存在し、さまざまな個性の人がいます。個人差はアメリカ人よりも大きくて感情の起伏も、本当はアメリカ人よりも深いと思います。
この物語では、Spursが上流でEllenは中流家庭の出であることが背景として利用されています。人物をあらわすのにそうしたほうがはっきりイメージできるからなのでしょう。

 アメリカ英語は分かるけれど、イギリス英語が分からないという人は、発音や文体の壁を克服しても、たぶんそれぞれの国の人の感情表現、心の動き、ユーモア、人生観などが期待しているものとかけ離れているので、感情移入できにくいからではないかと考えられます。

 ハリー・ポッターも子供向けの作品とはいえ、出てくる大人はイギリス人の心理的行動パターンをとるので、なかなか馴染めない人も多いのではないでしょうか。

 このLots of Loveのような軽いノリのラブ・ストーリーでイギリス人の会話や心理描写になれてくると、ハリー・ポッターももっと楽しく味わい深く読めるようになるのではないでしょうか。

そういえば、イギリス人のMaeve Binchyがとても面白くて、すらすら読めるので、Paperbackの初級・中級の人に進めたのですが、どうも合わなかったようで気の毒なことをしたと思ったことがあります。イギリスに留学していた娘も、私も大好きなMaeveですが、イギリス人と肌が合わないと、読んでいても感情移入ができないのではと最近になり疑っています。良い悪いではなくて、慣れの問題だとも思いますが。あるいはいわゆるカルチャーGAPなのでしょうか。



最新作はTongue in Cheekという2005発表の作品で2006にPaperbackになりました。
これもぜひ読んでみたいと思います。以下は作品紹介の文章です。
場所がOddlode ValleyなのでLots of Loveと同じCotswoldだと思います。
From The Very First Day That They Move To Oddlode Valley, It's Inevitable
That Young Teacher Mo Stillitoe, Recently Separated Socialite Diana
Lampeter And Cool, Retired Dressage Diva Anke Brakespear Will Find
Their Lives Entangled. Despite Differing Backgrounds, The Women Are
On A Relocation Collision Course.