CAROLYN PARKHURST

2005/4/20

Dogs of Babel

Copyright 2003
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おすすめ度★★★★★

物語:

Paul Iversonの妻Lexy(旧姓Ransome)は庭の大きなりんごの木によじ登り落下して亡くなってしまいます。目撃していたのは愛犬のLorelei(ドナウ川のローレライです。)

物語は妻を失ったあとのPaulがLoreleiにコミュニケーションを教えようとしている様子と、過去の妻との思い出が交互に語られてゆきます。

感想:

Carolyn Parkhurstは新人作家で、いきなりこの作品で注目をあびました。本の帯には「突然の妻の事故死を受け入れられないポール。言語学者である彼は、妻の死の深真相を知るため、唯一事故を目撃していた愛犬ローレライに言葉をしゃべれるようレッスンを始める。それは愛する妻との日々をたどる旅でもあった・・・・・・」とあるので、愛犬がなにか重大なヒントを与えるのだろうと思い込んで読みましたが、そんなことはありませんでした。

むしろ、PaulとLexyのラブストーリーになっています。保守的でまじめなPaulと自由な心をもったLexyの物語です。Lexyの心配性で起伏の激しい性格と、その彼女を愛していたPaulの関係からニコラス・スパークのようなストーリーの流れを感じました。

話しの展開とPaulの気づきがたくみに語られます。事故後のラジオの悩み相談番組から一瞬Lexyの声が流れます。Paulの探求によりLexyの死の前日にLexyが悩み相談の電話をかけていた ことを知るのです。PaulはだんだんとLexyの悩みを感じ取るようになり、最後にLexyがなぜ死んだのかを悟ります。

女性である作家が男性の主人公Paulを通じて女性Lexyの心の動きを描写することに成功しています。次はどんな作品を書くのかがとても楽しみな作家としてチェックしました。おすすめです。