ALICE SEBOLD

2005/4/30

The Lovely Bones

Copyright 2002
* * * * * * * 2005/4/25読書済み
おすすめ度★★★★★

物語:
出だしが衝撃的です。
My name was Salmon, like the fish; first name, Susie. I was fourteen when I was murdered on December 6, 1973. 14歳のときに殺されてしまった女の子、Susie Salmonとその家族が主人公です。

殺人者は近所に住む変質者のMr. Harveyですが、Susieがいなくなっても死体は発見されません。Susieは天国に行き、上から警察の捜査と家族の心配している様子を見守ります。担当刑事は、Mr. Len Fenermanです。

Susieは3人きょうだいです。1歳下のLindseyと、4歳の弟Buckleyそして愛犬のHolidayと両親が家族構成です。Susieのひじの骨だけがたまたま見つかりますが、Susieの遺体は発見されません。が、父親はMr. Harveyを疑います。刑事は真剣には取り上げず迷宮入りとなってゆきます。

Susieの失踪からだんだんと日が経つあいだの家族の様子が天国のSusieの目から描かれます。1週間が経ち、1ヶ月が経ち、1年が経ち、どんどん月日が経ってゆきます・・・

感想:
Savagely beautiful....という書評が言い得ています。痛ましい事件とその後の家族のつらい苦しみが描かれているので、重苦しい作品になるところを、Susieが天国に暮らしている、その目で家族を見ていると言う設定が読んでいる私達を救ってくれています。

母親のAbigailはいたたまれなくなって家を出てしまいます。年々成長してゆくLindseyとBuckley、それを見守るSusie。さらに年月がたち、成人してゆくLindsey、Susieは14歳のままです。父親のハート・アタックで入院するのを機会に母親が戻ってきます。Susieがいなくなったことを家族が受け入れて、ばらばらになっていった家族の気持ちがふたたび戻ってきて、それなりに幸せな家族愛が描かれます。

Susieの友達のRuthは死人を感じる第6感を持っていて、最後の所でSusieの存在を知ります。この出来事は作者から読者への贈り物でしょう。

Alice Seboldはこの最初の作品でいきなりベストセラー作家になってしまいました。天国から地上の出来事を見て描写するという、大胆でリスキーな構成をとりましたが、それなりに成功しています。

読んでいて最後に少しだけ目がウルウルきましたが、とくに深い感動を与えることは無かったようです。それよりも、設定がユニークで、ある程度説得力があるので、物語の流れに従ってある家族の人生を経験することが出来ます。Savagely beautiful....と表現されている世界を経験するだけでも読む価値は有ると思います。おすすめします。